2013-03-18

日本建築遺産12選―語りなおし日本建築史 (とんぼの本)

垂直と水平方向。12の建築物から日本の建築を読み解いた一冊。古建築好きには堪りません!

日本の12の建築物から、日本の建築史を読み解いた一冊。柱(垂直方向)と架構(水平方面)の両方向へ、どのように伸びていこうとしたのかを観ています。紹介される建物は、どれも日本を代表するような美しいものばかり。建築家らしい視点も存分に感じられますし、読み応えのある内容でした。


説明文:「「日本建築とはいったい何か?」。1960年代にキャリアをスタートし、現代にいたるまで、半世紀にわたり世界の建築の最前線で活躍しながら、鋭い切り口の建築/文化批評を行なってきた建築家・磯崎新が、いまあらためて「日本建築」について語りなおす。古代から20世紀までの数多の名建築のなかから自ら選んだ12の「建築遺産」をとりあげ、「垂直の構築」と「水平の構築」という日本建築の二つの流れからその歴史を読みかえる。刺激的でまったくあたらしい、イソザキ流「日本建築史」のはじまりです。」


本書で取り上げられているのは、以下の12の建物です。

●神を感知するために 「出雲大社」「伊勢神宮」
●〈柱〉原理主義 「浄土寺浄土堂」「唐招提寺金堂」
●のびゆく内部空間 「円覚寺舎利殿」「三十三間堂」
●二つのフリースタイル 「三仏寺投入堂」「西本願寺飛雲閣」
●テーマパークの近世 「さざえ堂」「修学院離宮」
●20世紀日本建築の到達点 「代々木オリンピックプール」「水戸芸術館アートタワー」

有名なものばかりですが、時代ごとに見ていくことで、それがどのような特徴があるのかがとても分かりやすくなっています。個人的には、兵庫県小野市の浄土寺浄土堂、奈良市の唐招提寺金堂など、馴染みが深い分だけ好きな建築です。京都の西本願寺飛雲閣、福島県のさざえ堂なども独特で、ずっと憧れているものですから、とても興味深かったですね。

また、私はよく知らなかったんですが、鎌倉市の円覚寺の舎利殿もすごいですね!お堂内部を見上げると、通常は外側にある組物がびっしりと配され、梁と垂木が中心部を目指して収斂していくかのよう。イメージとしては洋風建築のドーム部分のようでもあり、和の工芸品的でもあります。圧巻ですね。

単純に有名な建築物を歴史順に並べただけのものではありませんので、予備知識が無いと読みづらい印象があるかもしれませんが、私はとても楽しく読めました。日本の古建築がお好きな方は、ぜひ手にとってみてください!


『<$MTEntryTitle$>』より

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