
とめはねっ! 鈴里高校書道部(1)
高校の「書道部」が舞台の漫画。さすが人気作家さんの作品だけにめっぽう面白い!
「書道」という渋いテーマの漫画です。こういうニッチな文化系モノの漫画はもうお腹いっぱいな気もしますし、個人的に書の世界には全く興味が無かったんですが、これがめっぽう面白いんです!レンタルコミックなどで最新の10巻まで読了しました(連載は続いています)。
作者の河合克敏さん(Wikipedia)は、柔道をテーマにした『帯をギュッとね!』、競艇を題材とした『モンキーターン』というヒット漫画の後、この書道の世界を描いた本作の連載を始めたそうです。
作品の主人公は、カナダ帰りの帰国子女・大江縁(男)。書道どころか日本の文化にも疎く、おっとりとした性格の男子です。ヒロインは、全国的に有名な柔道選手の同級生・望月結希(女)。がさつな体育会系女子ですが、縁あって二人そろって書道部に入部し、書の面白さに目覚めていく…という内容です。あらすじはありきたりに見えますが、この作者さんの特徴なのか、色恋でどろどろすることもなく、明るくあっさりと描いているので、とても読みやすいですね。
初心者の二人に説明するようにして、書道の決まりや常識ごとなどが説明されていくのですが、私のような何の予備知識もない人間にとっては、とてもためになります。楷書・かな書・臨書などの違いもここで知りましたし、書の神様と崇められている王義之の名前すら、私はこの漫画で知りました(笑)
作中には、実際の書道の作品が掲載されているので、それを観るだけで面白いですし、そこに解説を加えて優劣をつけていったりするので、書の見方が優しく覚えられます。書道経験者の方にはこれがどう映るのか分かりませんが、全くの未経験者にとっては、感心しっぱなしですね。
漫画としても嫌味なくよくできていますし、この手の文化系マンガがお好きな方はぜひ読んでみてください。