
乙嫁語り(1)
19世紀の中央ユーラシアの遊牧民の生活を描いた作品。精緻な絵もストーリーも極上!
19世紀の中央アジアを舞台に、12歳の少年のもとに嫁いだ20歳の少女のお話です。…と聞くと、ピンと来ないものすごい遠い世界のストーリーのように思えますが、それを読ませるだけの画力とストーリー展開の妙味があります。以前から話題になっていた漫画ですが、ようやく4巻まで読了しました。すぐに続きが読みたいです!(5巻が出たばかりなんです)
説明文:「中央ユーラシアに暮らす、遊牧民と定住民の昼と夜。美貌の娘・アミル(20歳)が嫁いだ相手は、若干12歳の少年・カルルク。遊牧民と定住民、8歳の年の差を越えて、ふたりは結ばれるのか……? 『エマ』で19世紀末の英国を活写した森薫の最新作はシルクロードの生活文化。馬の背に乗り弓を構え、悠久の大地に生きるキャラクターたちの物語!」
この時代の遊牧民族の暮らしぶりに関して、私は全く知識はありませんし、ほぼ興味もありませんでした。しかし、この作品が描き出す世界(フィクションです)は、キラキラと眩しいくらい生の痛みと喜びがあふれています。架空の人物が架空の世界で動いているんですが、それがここまでいきいきと感じられるのですから、すごいことですね。
精緻な書き込みがなされた絵の力も大きいですね。布や建物など、細かいところまでみっちりと精密に描かれており、そこがどこかしらユーラシアっぽさを増長しているのですから不思議です。森薫さん(「エマ」を描いた方)の作品を読むのは初めてでしたが、こういう絵が書きたいからこの題材を選んだんでしょうね。作者さんが大好きなことを楽しみながら描いているのが伝わってくるようで、読んでいるこちらまで楽しくなります。
地球上のどこかへトリップできる壮大なフィクションとしてとても楽しく読めました。好き嫌いはあると思いますが、まずは1巻だけでも手にとってみてください!