2013-01-16

昭和元禄落語心中(1)

粋で真摯な噺家さんたちを描いた漫画。八雲師匠がかっこいい!落語が聴きたくなります

「このマンガがすごい」オンナ編に2年連続でランクインしている、落語をモチーフにした話題作(2012年は2位、2013年は14位)。漫画喫茶で3巻まで読了しました(連載は続いています)。私はそれほど落語には詳しいわけではありませんが、これは面白かった!落語界の不思議さ、噺家さんたちの面白さが存分に感じられます。

紹介文:「満期で出所の模範囚。だれが呼んだか名は与太郎。娑婆に放たれ向かった先は、人生うずまく町の寄席。昭和最後の大名人・八雲がムショで演った「死神」が忘れられず、生きる道は噺家と心に決めておりました。弟子など取らぬ八雲師匠。惚れて泣きつく与太郎やいかに……!?昭和元禄落語心中・与太郎放浪篇、いざ幕開け!!」

落語の世界を描いた作品は他にもいくつも見つかると思いますが、漫画として描かれる場合、若手の噺家さんの成長物語として一本調子になりがちなイメージがあります。真打の師匠たちはただの意地悪なおっさんとして描かれるか、さもなければラスボス的な描き方をしたくなるでしょう。

しかし、本作では人懐っこい噺家志望の与太郎を主人公としながらも、弟子入りする大師匠・八雲と、その親友でありライバルでもあった助六の娘との不思議な関係が描かれます。この師匠同士たちの物語は2巻以降に登場しますが、これがいいんですよね。戦前から戦中にかけて、日本が苦しい時代にも芸事に励んだ者たちの人間模様がいいです。みんなが粋で、誰もが真剣なんですね。

作中には、有名な落語のネタが多数登場します。八雲師匠が演じたという「死神」など、ネットで検索すればすぐに観ることができますので、ぜひ検索してみてください。噺家さんによって同じネタでも全く演じ方は変わってくるといいますし、本書でもその特徴は丁寧に描かれています。八雲師匠や助六師匠の芸風を思い浮かべながら観るのもいいですね。

もっともっと落語のことを知りたくなる素晴らしい漫画ですから、これからもしっかりと読んでいきたいと思います。興味のある方はぜひ!


『<$MTEntryTitle$>』より

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