いいビルの写真集 WEST
1950~70年代に建設された大阪の色気のある「ビル」の写真集。細部まで美しく感動的!
大阪にある1950~70年代に建設された「ビル」を紹介した一冊。説明にあるように、この時代は「昭和がもっとも輝いた時代」であり、欧米の影響を受けながらそれを消化吸収し、独自の和モダンなプロダクトや建築が生まれました。実用一辺倒ではない、その時代ならではの色気が感じられるビルたちは、本当に美しいですね!素晴らしい内容でした。
著者は、大阪を中心に活動するビルマニアな5人「BMC(ビルマニアカフェ)」さん。ビルについての新聞連載があったり、リトルプレス「月刊ビル」の発行を行ったりしている、生粋のビル好きな皆さんです。それぞれ好きなタイプのビルに違いがあるそうですが、素人目にはどれもこれも素敵なばかりで、詳しくは分かりませんでしたが、そんなレベルでも充分に楽しめますね。
掲載されているのは、浪速組本社ビル・輸出繊維会館・味園ビル・綿業会館新館・御堂筋ダイビル・純喫茶アメリカン・大阪ニット会館・マズラなど20選。この時代に数多くの設計を行った村野藤吾さんが手がけたビルがあったり、近未来を感じさせるようなものがあったり、底知れない時代のパワーが感じられるようです。どれを見ても、過剰であったり簡素すぎたり、今の没個性なオフィスビルとは大違いですね。
ビルの外観やエントランス・階段なども、落ち着いた素材が使用されていたり、アールを多用したその当時のモダンデザインだったりします。本書の後半部分では、「いいビルの見どころ」として、タイル・窓・床・金属パネルなど、重要なパーツ類の写真がズラリと並べられています。これがまた美しいんですよ!個人的には、ガラスブロック(光を通すガラス製のブロック)、そして階段の手すりがツボです。自宅に設置したいくらい大好きです(笑)
この時代の建築物は、大阪にはまだ豊富に遺されていて羨ましい限りですが、すでにたくさんのビルが建て替えられているそうです。ここに掲載されているような名建築は早めに見ておきたいですね。
本書の著者の一人である橋爪紳也さんが監修した『大大阪モダン建築』も読んでみたいと思います(確か最寄りの図書館にあったはず)。