カラー版 奈良の仏像さんぽ (じっぴコンパクト新書)
カラー写真豊富。奈良の仏像の丁寧でコンパクトなガイド本
奈良の仏像に関して、丁寧にコンパクトにまとめた新書版の一冊。平城遷都1300年祭に合わせて、2010年3月に出版されたものです。私はすでにそれなりにお参りに行っていたため、不要かと思って手にとっていませんでしたが、しっかり作ってありますね。仏像の写真も豊富で、しかもカラー(仏さまの写真は使用料がお高いものが多いんです)。拝観のコースガイドもしっかりしていて、お値段は1,000円ですから、かなり実用的だと思います。
全部で16のコースが紹介されており、例えば「東大寺」コースでは戒壇堂・法華堂・四月堂が、「奈良町」コースでは福智院・十輪院・元興寺などが紹介されています。それぞれが比較的短めで、コンパクトに回れるコース設定にしてあるのがいいですね。仏さまの特徴などしっかり紹介されていますし、マップやコースの見どころも掲載されていますので、仏像巡りをテーマに歩くには最適でしょう。
また、有名な寺社や仏像の紹介だけにとどまらず、「桜井」コースには、安倍文殊院と聖林寺とともに、山奥の小さな尼寺・音羽山観音寺の千手千眼十一面観音菩薩像が紹介されていたりします(私もお会いしたことがありません)。また、「室生」コースには、地域の方に護られている安産寺・地蔵菩薩立像が入っていたり、筆者さんの好みなのか、ややマニアックなセレクトもあって楽しいですね。
個人的に嬉しかったのは、「當麻」コースで、有名な四天王像などとともに、奥院宝物館に安置されている「二十五菩薩来迎像」(軽やかに踊るようなダンシング菩薩)が取り上げられていたこと。期間限定での公開となりますが、軽やかで美しい仏さまたちですので、もっと多くの方にその存在を知って欲しいと思います。
ところどころに「平城遷都1300年祭が…」という記述が見えますが、それさえ無視してしまえば、奈良の仏像巡りのガイドブックとして、今でも十分に活躍できる内容ですね。ぜひこの本を片手に奈良の古刹を歩いてみてください!