2012-01-09
孤独のグルメ (扶桑社文庫)
中年男性が黙々とメシを食う様子を淡々と描く不思議な漫画
マイナー雑誌の連載漫画で、1話8ページほど。主人公の中年男性が、仕事で行く先々で一人で食事をする。黙々とかっこむようにメシを食う様子を淡々と描くだけの不思議な漫画です。以前からネットではかなり話題になっていて、文庫版があると知ったため、早速購入してみましたが、面白かったですね。
特に盛り上がりもなく、営業先でペコペコのお腹を抱えてお店を探し歩き、結局は適当な食堂で気になったものを注文。早い時間帯だったためにお目当てのメニューが無かったり、頼みすぎて失敗したり。
有名店に行くわけでもなく、グルメ漫画のように薀蓄を傾けるでもありません。行列には並ばず、決して食べログに頼ったりもしません。目についた気になったお店で、ただひたすらご飯を食べるだけです(必ず少しだけ食べ過ぎます)。この感覚は女性には理解できないかもしれませんが、男なら共感できる部分も多いでしょう。
食事の内容が魅力的で、●飲み屋的な定食屋●女性客が多い回転寿司屋●残業中のコンビニ飯●デパート屋上のさぬきうどん●新幹線車内で食べるシューマイなど。どこにでもあるメシを、ガツガツと美味しそうに、そして気持ちよさそうに食べています。
帯に「池波正太郎の食エッセイのような極上の深みと味わい」とありましたが、私は残念ながら池波さんの作品を未読のため、比較はできません。しかし、そこまで上質なわけでもありませんので、もっと気軽に読んだ方がいいと思います(笑)
なお、巻末には原作者の久住昌之さんの後書き兼エッセイが掲載されていますが、これが意味が分からないレベルです。何が言いたいのか分からないし、主人公の「井之頭五郎」の名前を「井の頭五郎」と間違っていたりするし。これ無しでもっとお安くして欲しかったくらいですね。