2011-12-23
あさきゆめみし(1) (講談社漫画文庫)
源氏物語モチーフの超有名コミック。読み始めれば面白い!
おそらく「源氏物語」をテーマにしたコミックスでは最も有名なものでしょう。今でも人気のある作品だけに様々なバージョンが出ていますが、私は嫁が持っていた講談社漫画文庫(全7巻)を読みました。
紫式部が描いた源氏物語は、平安時代の貴族社会の名うてのプレイボーイ・光源氏を中心とした恋物語、というようなあらすじで紹介される作品で、今なお映画化されたり、日本人にはお馴染みの古典でしょう。しかし、男目線では色恋沙汰ばかりでどうしても退屈で、これまでも何度も途中で挫折してきました。大和和紀さんの絵も、やや古さを感じる少女漫画絵のため、次々と登場するキャラクターの見分けがつかなくなってしまうのも混乱する一因でした。
しかし、今回は特に集中して、人物相関図と往復しながら読み始めてみると、これがとても面白いんですよね。あくまでも宮廷内の恋愛絵巻ですから、戦闘シーンがあるワケではありません。しかし、男女がなかなか顔を合わすこともできず、女房を介して、または御簾ごしに会話をしたり、歌を読み交わしながら心を通じていくところに風情を感じるようになると、その雅な世界観が一気に興味深くなります。さすがは何世紀にもわたって日本人を魅了し続けてきた名作古典ですね。
源氏物語は、男性目線で読んでしまうと、単なる退屈なカサノヴァの話に見えるかもしれません。宇治十帖のくだりなど理不尽だらけに思えてしまいます。しかし、女性側に共感できるようになると、一気に切ない物語になります。男性の方も、身勝手な男性たちに翻弄される女性たちの悲哀を感じながら読んでみてください!