2011-09-22
見仏記 (角川文庫)
見仏記シリーズの記念すべき第一作目。全く古びてません
記念すべき見仏記シリーズの第一作目。以前も読んでいたはずですが、今読み返してみると新鮮ですね。1992年9月から雑誌連載が始まっているので、今からほぼ20年前の文章になりますが、仏像に絞って書いてあるため、内容はいつになっても変わりません。ただし、スラリとした女性の例えが岡本夏生さんだったり、俗世界の話題になると途端に古臭くなるんですから、仏さまは偉大ですねw
全部で13章、奈良と京都を中心に、九州・東北まで見仏旅行に出かけています。オープニングから東大寺・興福寺の両寺ですし、新薬師寺・五劫院・法隆寺界隈・室生寺・當麻寺・唐招提寺・薬師寺など、奈良県内の主要なお寺はほとんど回っているのも、シリーズ開始間もないころの特典ですね。後期のマニアックさには欠けますが、分かりやすく共感しやすいラインナップです。
この当時のいとうせいこう氏は、まだ仏像の魅力にのめり込む前で、みうらじゅん氏のアシスト役として登場しています。しかし、奈良・西大寺の文殊菩薩さまに恋してしまうシーンがあったり、少しずつ変わっていく様子が伺えるのもいいですね。初期作品ならではの初々しさを感じます。
みうらさんの感性はさすがですね。「釈迦も仏像見たかったろうね。見たら驚いたと思うよ。これ、俺かよ? って。」改めて見ても斬新です!イラストのみのため、仏さまの姿が分かりづらいのは難点ですが、仏像ブームの仕掛け人ともいえる方々の記念すべき最初の作品ですから、興味のある方はぜひ!