2011-05-26
十一面観音巡礼 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)
白洲正子さんが全国の十一面観音像を追い続けたエッセイ集
奈良・多武峰の聖林寺に始まって、初瀬、若狭・秋篠・龍田・湖北など、白洲正子が一年間にわたって十一面観音像を追い続けたエッセイ集。今から30年以上の前のことで、交通手段やお祀りするお堂が変わってしまっていても、その時代の空気感は伝わってきます。
ここ最近、白洲正子ブームとなっていますが、仏像と相対する時に持つ、信仰・美術・畏怖・感謝などが、現代人にも共感しやすい距離感を保っているからなのかもしれません。古の人々のような強い信仰心は持たなくても、不思議と仏さまの佇まいに惹かれていく、その姿に親近感を感じました。