もいちど修学旅行をしてみたいと思ったのだ
中年のおっさんたちの大人の修学旅行。肩の力が抜けていて気楽に楽しめる内容です
ライター北尾トロさんら中年男三人組が、あらためて修学旅行の定番の土地へ行ってみるという企画。「週刊ポスト」連載の内容をまとめて、2008年に単行本化したものです。
この手の「大人の修学旅行」的な読み物はいくつも出ていますが、本書はあくまでも軽め。特に文化財などに詳しい方が混ざったりせず、気の合う仲間たちが集まって、進行表どおりにせっせと名所を回っていく感じがいいですね。楽しそうでもあり、ちょっと哀れさを感じたりもします。
修学旅行先として選ばれているのは、京都・奈良・岡山倉敷・宮島広島・長崎平戸・熊本阿蘇別府・宮崎鹿児島・日光・松島会津・平泉角館・函館札幌・網走釧路・伊勢鳥羽・金沢輪島・東京・鎌倉箱根・萩津和野・飛鳥斑鳩・銀閣寺大原・釜山慶州・扶余ソウルなど。いずれも修学旅行の先としてはメジャーどころばかりです。
こういった場所は、物を知らない中学生くらいの年代だと楽しめないことも少なくありませんが、ある程度の年齢になると楽しみ方が分かってくるんでしょう。ベタとされる観光地でも、楽しみ方を変えてみればいくらでも遊べます。とはいえ、本書ではそこまで深く掘り下げず、あえて端的に感想を述べ、淡々とツアーをこなしていっています。雑誌連載という制約があったとしても、その点が物足りないといえば物足りないですね。
修学旅行のメッカ・奈良には、連載当初に奈良市内へ、終了間際に飛鳥斑鳩へと、2回訪れています。「オヤジ向きの観光地」と、いずれも高評価(?)でした。飛鳥や斑鳩を歩くと「踏みしめた土の感触や空気感を、気持ちよいものとしてカラダが覚えている」とか。まさに修学旅行とは対極の楽しみ方でしょう。
大人の方こそ奈良の隅々まで歩いてみるといいですよと、私も声を大にして主張したいと思います!