世界の聖地
世界70ヶ国を踏破した方の聖地探訪本。パワスポ風味は薄め。冷静でそそられる旅行記です
夫婦で世界一周を達成し、世界約70ヶ国を踏破したご夫婦による、世界の聖地を紹介する一冊。個人的には、パワースポットのご利益ばかりを強調するようなものは苦手ですが、本書のスタンスは違います。「霊感はない」と言い切る筆者さんのこの言葉にスタンスが表れています。
「それでも旅をしていると、何かを感じることは多々ある。『ああ、神様はいるかもしれないなあ』という気持ちになる場所がある。その絶景に身を置いて、そこで祈る人々を見て、わざわざここへ来て良かったな、と心が潤うのだ。」(はじめにより)
あくまでも冷静な旅行者目線で、そこにある空気感を感じ取っているので、とても読みやすかったです。ただし、その分だけ聖地の宗教的な解説などはあっさり目。現地へ一度行った体験を記事にしていますから、当然紹介しきれない部分も多いでしょうし、親切なガイドブックにはなりえません。出版社からの売り言葉には「パワースポット本の決定版」などとありますが、さすがにそれはないですね。
世界の聖地を巡った旅行記として読めば、とても興味深く面白いです。
説明文:「世界各地約100の市場を紹介した「世界の市場」に続く、旅行ガイド・フォトエッセイの第二弾! 世界には「聖地」として地元の人に愛され、あがめられてきた場所が数多く存在する。例えば古くから宗教儀式が行われる場所であったり、有名な寺院・お寺・教会が建設された場所だったり。そうした「他とは違う歴史的な変遷を経てきた宗教スポット」「人から崇拝を受ける場所」を「聖地」と定義し、世界のさまざまな「聖地」を紹介する。「聖地」の定義は様々だが、世界70ヶ国を旅した著者ならではの目線で、聖地をジャンルごとに位置づけ、個性ある聖地を体系だてた、いわゆる「パワースポット本」の決定版!」
本書で紹介されているのは、約25の聖地と呼ばれる土地たちです。聖地として選んだ基準はいろいろのようですが、どこも確かに不思議な雰囲気を感じる場所ですね。
台湾・阿里山、インド・バラナシ、ミャンマー・バガン、チベット・ラサ、オーストラリア・カタジュタ国立公園、エジプト・ピラミッド群、イスラエル・エルサレム、イタリア・ローマ、フランス、モン・サン・ミッシェル、アイスランド・ゲイシール間欠泉とグトルフォスの滝、マダガスカル・バオバブ街道、エチオピア・ラリベラの石窟教会群、アメリカ・セドナ、プエルー・マチュピチュ、ボリビア・チチカカ湖など。
筆者のご夫婦が現地を旅したレポートを読んでいるだけでも、とても興味が湧きますね。私はあまり海外へ行きたいとは思わないタイプですが、この本を読んでいるうちに「死ぬまでに一度くらいは……」という感情がどこかに芽生えてくるのが、自分でも面白かったです(笑)
なお、私は世界の聖地的なものにはほぼ興味がなかったので、詳しい知識はまったくありません。巻末の対談での記述で「神無月は11月」(※実際は旧暦10月)というあったので校正ミスかと気づきましたが、Amazonのレビューを見ると、この他にも地名の誤表記など細かいミスがいくつかあったようです。そういった点もあらかじめ頭に入れながら読んでみるといいでしょう。