2014-06-30
ミニコミのつくり方―あなたにしか作れない“最小&最強のメディア”の楽しみ方
ミニコミ誌発行者によるエッセイ本。15年前の発売なので懐かしエピソードを楽しめます
1997年に発売された、ミニコミ誌発行者によるエッセイ本。現時点から15年以上も前の本ですから、技術的な点ではほぼ役に立ちません。しかし、私のような紙媒体へ執着したことがない人間にとって、ミニコミ誌や同人誌づくりにはまる人たちの日常生活のようなものが垣間見れて、とても興味深かったです。
説明文:「自分のメディア作りの定番!小さなメディアほど面白いものはない!!友だちとつくるマンガ雑誌、学校新聞から、文集、同人誌、全国発売のカルチャー誌まで、経験者だから語れるノウハウを全公開。」
筆者は、中学生ごろから漫画を書き始め、高校時代にはクラス内のミニコミ誌的なものを作り、デザイン事務所へ就職。ミニコミ誌を発行していた方と知り合い、それ(漫画と音楽の『VANDA』と『縦横』)を全国区へと成長させて……という経歴をお持ちの方です。
本書のラストになって、ようやくMacが導入されたくらいですから、それ以前は切って貼って、拡大コピーを駆使するという世界です。パソコンの無い時代なんて、今となってははるか昔のようにも思えますが、それはそれでとても楽しそうなんですよね。
学校の授業中などに原稿を作成して、クラスのみんなで共同でミニコミ誌を作ったり、自分だけで作ったり(実費で販売)という世界は、きっと今でも残っているでしょう。また、私と近しい世代の方であれば、ひょっとしたら実際に体験しているかもしれません。
そういう古き懐かしき時代の自伝的エッセイとして読むと、この本はなかなか味があります。最終的には、自らが発行するミニコミ誌を全国へ流通させたというのですから、立派にやり遂げていますね。タイトルのような実用性は期待せず、気楽に読んで楽しむといいでしょう。