ロングトレイルという冒険 -「歩く旅」こそぼくの人生 (生きる技術!叢書)
長距離を歩き続ける「ロングトレイル」の第一人者によるエッセイ。旅立ちたくなります!
長距離をひたすら歩き続ける「ロングトレイル」。187日間かけて、アメリカ有数の「アパラチアン・トレイル」(3500キロ)を歩き通したり、国内で人気の「信越トレイル」のコースを整備したりした、その道の第一人者によるエッセイ集です。
説明文:「何日も、ときには何ヵ月も、原生自然の真っただ中を歩きつづけるロングトレイル。世界中の名だたる縦走を歩破してきた第一人者がその魅力をあますところなく語る。実践的な歩き方の心得を手はじめに、自然に身を置き、自然と分かち合 いながらヒトが生きるという、ロングトレイルの真髄を鮮やかに伝える。ソロー、ジョン・ミューア、グレゴリー……アウトドア文化を拓いた先人たちの精神を受け継ぎ、山や森の奥深さを綴った歩行のクロニクル。」
それぞれの章で、バックカントリーを歩くことになったきっかけや、アパラチアントレイルを縦走した記録、日本の国立公園の歩く魅力、愛用のグッズの紹介などが語られています。それぞれが別の場所で発表された文章だけに、全体的なまとまりは今ひとつですが、その哲学から装備や実践まで、色んな側面からロングトレイルの魅力について触れられた贅沢な内容とも言えるでしょう。
ロングトレイルについては詳しく説明しませんが、日本のような山のピークを目指すのではなく、長い距離を歩き続けることを目標としたものです(縦走もこれに当たります)。日本で長い距離を歩こうと思うと、どうしてもアスファルトの上を歩く時間が長くなりますが、広大なアメリカ大陸では何千キロものトレイルが可能なんですね。その点だけでも羨ましい限りです。
現実的に考えて、そんなロングトレイルは簡単には実現できないでしょうが、今はちょっとしたブームが到来しているそうです。この本を読んでいたら、今すぐにでも歩きに行きたくなりましたね。特に熱っぽく語ったりするのではありませんが、その魅力を知り尽くしている方の言葉は、心を炊きつける静かな熱がこめられていますね。
なお、2011年に出版された本ですが、筆者さんはこの直後から難病に冒されてしまってい、2013年春にお亡くなりになったのだとか。ご冥福をお祈りいたします。