ぶらぶらヂンヂン古書の旅 (文春文庫)
日本全国の「古書店」を訪ねて掘り出し物を見つける旅のレポ。楽しい無駄な旅ですね!
全国の「古本屋」を巡る旅のレポ。著者の北尾トロさんがまだオンライン古書店を営業していた時に書いたもので、「せどり」(古本屋で見つけた格安の本を転売して利ざやを稼ぐこと。Wikipedia)を読み物にしたものというよりも、わざわざ遠方の古書店へ遠征して、いい本といい古書店が見つかったかどうかに一喜一憂する姿を楽しむルポですね。
説明文:「日本全国津々浦々、どこかでぼくを待っているまだ見ぬ古本に出会うため、今日もぶらぶら旅をする。アテもなく歩き回れば、掘り出し物も予期せぬ出会いもたまにある。ほしい本をつかみとる瞬間、胸がヂンヂンたぎるのだ。日本の古本好きの夢を、北尾トロが実現しました。旅や出張のお供に、家でのんびり寝転びながら、ぜひどうぞ。」
本書で訪れているのは、福岡&岡山、東北、金沢、武蔵野線沿線、仙台&盛岡、松本、鎌倉&茅ヶ崎、神戸、四国、北海道。ほぼ全国を網羅しています。その土地の古本屋さんを巡るためだけに、電車に乗ったり旅館へ泊まったりしてわざわざ出かけていくんですから酔狂なものです。
しかし、これが楽しそうなんですよね。個人的には古本屋さんにそこまでの執着はありませんが、わざわざ本のために旅をするという無駄さがそそります。
実際に行ってみても、調べてあった店がすでに閉店していたり、どこででも手に入るような中古漫画しか置いてなかったり、価格が首都圏並に高かったりと、成果があるとは限りません。さらに、成果があればあるほどバッグは重く膨れ上がり、体力的の大変です。どっちに転んでもヘビーですねw
2007年に出版された単行本ですから、その当時とは古書をめぐる環境も大きく変わっていますし、情報としてはほとんど役に立たないと考えてもいいでしょう。しかし、調べてみたら、読み終わった本を只見の森と交換するという、福島のユニークな古書店「たもかく本の街」も、まだ営業しているようです(本書では「たもかぶ本の街」でしたが名称が変わった?)。いつか行ってみたいですね。
また、成果がイマイチだった旅先の夜、「今日はどの本をどんな順番で読んで夜を過ごそうか」などと真剣に考えているのも、とても共感できます。旅先で一晩本を読むなんて、これ以上無い贅沢ですよね!
とりあえず、ゆく先々で有名な古本屋さんに立ち寄っていますから、古本が好きな方には今でも気軽に楽しめる内容でしょう。