2013-02-22

走ることについて語るときに僕の語ること

村上春樹さんが「走ること」について語った一冊。自営業系ランナーのバイブルです!

あまり他人に言ったことはありませんが、私は村上春樹さんの大ファンです。初期の頃の作品は何回も繰り返し繰り返し読みました。今でも一番好きな小説は『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』です。数えきれないくらい読み返してきました。

しかし、そんな村上春樹好きがこじれて、ここ何年かの新作は一切目を通していません。最後に読んだ小説は『海辺のカフカ』です。それ以降は本棚に入ったままです。未読の新作を何冊も溜めこんでおいて、いつの日か3日間くらいずーーーっと集中して読み続けたいんですよね。それが私のささやかな夢です。完全にこじらせてます(笑)

そんな中で唯一の例外がこの本です。定期的にジョギングを続け、フルマラソンはもちろん、100kmのウルトラマラソン、そしてトライアスロンにまで参加している村上さんが、“走ることについて”を語った一冊です。この本の発売は2007年10月でした。私もランナーの端くれですので、この本だけはどうしても読みたいと身悶えしていたところ、ウチの奥さんが私の誕生日にプレゼントしてくれた記念の本です!


説明文:「1982年秋、専業作家としての生活を開始したとき、彼は心を決めて路上を走り始めた。それ以来25年にわたって世界各地で、フル・マラソンや、100キロ・マラソンや、トライアスロン・レースを休むことなく走り続けてきた。旅行バッグの中にはいつもランニング・シューズがあった。走ることは彼自身の生き方をどのように変え、彼の書く小説をどのように変えてきたのだろう?日々路上に流された汗は、何をもたらしてくれたのか?村上春樹が書き下ろす、走る小説家としての、そして小説を書くランナーとしての、必読のメモワール。」


久々に読み返してみましたが、やはり染みますね。村上さんが走り続ける理由はいくつかありますが、作家として重要な「集中力と持続力」を鍛える意味もあるとか。若いうちに才能だけを頼りに小説が書けたとしても、それはコントロールできず、長い期間持続しないもの。長く小説を書き続けるためには、自分の持っている能力を一点集中で注ぎ込める集中力、そして日々の集中を継続できる持続力が必要だといいます。これらを強化していく作業と、ランナーとしての能力を高めていく作業は似ているというのです。

私自身、小説家とは全く違いますが、一日のうちの何時間もパソコンに向かってキーボードを叩いている生活をしていますので、この考え方には心から同意です。

本文中に、ミステリー作家レイモンド・チャンドラーの「たとえ何も書くことがなかったとしても、私は一日に何時間かは必ず机の前に座って、一人で意識を集中することにしている」という言葉が紹介されていますが、まさにこの通りですね。これが訓練になるんです。

そんな作家の姿を、しがない自営業者である自分の姿に重ねているため、この本はランニングに関してだけではなく、日々の生活の姿勢まで省みられるのです。哲学書であり、バイブルでもあり。これを読んだらしっかり走りたくなるんですから、私にとっての燃料でもあります(笑)

もちろん、ジョグについて書かれた部分も、私よりもランナーとして圧倒的に優れた記録を残している方の言葉ですから、共感できたり納得できたりします。



日々走ることは僕にとっての生命線のようなもので、忙しいからといって手を抜いたり、やめたりするわけにはいかない。もし忙しいからというだけで走るのをやめたら。間違いなく一生走れなくなってしまう。走り続けるための理由はほんの少ししかないけど、走るのをやめるための理由なら大型トラックいっぱいぶんはあるからだ。僕らにできるのは、その「ほんの少しの理由」をひとつひとつ大事に磨き続けることだけだ。暇をみつけては、せっせとくまなく磨き続けること。

102~103ページ



一人きりになりたいという思いは、常に変わらず僕の中に存在した。だから一日に一時間ばかり走り、そこに自分だけの沈黙の時間を確保することは、僕の精神衛生にとって重要な意味を持つ作業になった。少なくとも走っているあいだは誰とも話さなくてもいいし、誰の話を聞かなくてもいい。ただまわりの風景を眺め、自分自身を見つめていればいいのだ。それはなにものにも換えがたい貴重なひとときだった。

31ページ

(※言い訳しておくと、我が家は常に奥さんと二人向き合って暮らしていますが、お互いにそれほど干渉しないので、特に一人になりたいと願ったことはありません。しかし、特に喧嘩もせずに仲良く暮らせているのは、走ることが知らず知らずのうちに一人になりたい欲を満たしてくれているのかもしれない、とは思います)


この本に関しては、私があまりにも共感しすぎているため、あまりまともなレビューになりませんが、走ることはそれ自体は、私たちにとっての楽しみでもあり、苦しみでもあります。この本を読めばみんな走りたくなる…とまでは思いませんが、悪い影響はないと思いますので、ぜひ手にとってみてください!

なお、私はハードカバーで読んでますが、文庫本『走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)』も発売されています。こちらを探してみるといいですね。


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