2012-07-24

わたしの小さな古本屋~倉敷「蟲文庫」に流れるやさしい時間

倉敷の古本屋「蟲文庫」の女性店主が描いたゆるやかな営業風景

岡山県倉敷市にある古書店『蟲文庫(むしぶんこ)』の女性店主さんが書いたエッセイ本。仕事を辞める際に、ふっと「そうだ、古本屋になろう」と決心してお店を始められたそうですから、特に古書店営業のノウハウが披露されている訳ではありません。店内をのんびりと静かな時間が流れていることを想像させるような、のんびりとしたエッセイ本です。

蟲文庫さんは、店舗スペースは10坪ほど、仕入れはお客さんからの買取依頼によるそうですから、私のような乱読傾向とは無縁な人間にとっては、全く興味をそそられない棚であると想像できます。しかし、(当初はアルバイトをしながら…だったようですが)1994年から今までずっとお店を続けられているのですから、何か特別な魅力があるんでしょうね。機会があったらその雰囲気を見てみたいと思わせる何かがあります。

しかし、初出が「早稲田古本村通信」で、本書に再録されている文章がほとんどです。いくらか加筆などは行なっているようですが、エッセイ本として全体を通してのまとまりの無さが気になります。その当時、「苔」に関する著作が発売されたタイミングにあたるようですが、その話題が何度も出てきてやや辟易としました。もうちょっと編集してくれると読みやすくなると思うだけに、ちょっと残念ですね。


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