古本屋開業入門―古本商売ウラオモテ
古書店主による営業のノウハウや内幕本。業界の先行きは暗そうです…
古書店主による、古書店営業のノウハウや内幕の本。2007年の発売なので、やや古い情報も見受けられますが、かなり細やかにノウハウが掲載されています(本の書き込みの消し方など)。ビジネス書のような図解があるわけではありませんが、エッセイとしても読めて、古書店の開業を目指す方には役立つでしょう。
筆者は、青森で古書店を経営なさっている方です。昭和61年に5坪の小さな店舗からスタートし、手狭になったことから支店を出し、最盛期には4店舗でゲームやCDなども販売するまでに拡大しました。しかし、盗難被害などもあったことから縮小し、現在では店売りはせずに倉庫を構え、目録とネット専業となっているそうです。
「古書店林語堂」のホームページを見ると、ちょっと古臭さが感じられる作りですし、トップページのタイトルが無かったりもしますがw
私は古書業界の知識はありませんし、古書へのこだわりもありません。この本を読んで感じたことは、ただただ「しんどそう」ということですね。掘り出し物の古書を見つけたり、必要としている方に届けられたりする喜びはあるにせよ、万引きに注意したり、誰も引き取り手が見つからないような雑本を仕入れなければいけなかったり、とてもじゃないですが楽しそうには見えません。
筆者は、「古本屋を本業として生活していくには」という観点から書いていますので、今ではこの方法しか残されていないというのが現状でしょう。ビジネスとして成り立たせるためには、薄利多売のリサイクル業に近づいてしまうのですから、これは仕方ないことなのかもしれません。
ただ、これから求められるのは、本業としてではなく副業として続けていける方法論なのかもしれません。セドリをする若者の話題なども出てきますが、筆者はあくまでも「小遣い稼ぎに過ぎない」というように断じていますが、自分の空いた時間でわずかは副収入を得るという点では、(ライバルが増えて成り立ちづらくなっているとはいえ)まだ活路はあるのかもしれません。少なくとも薄利多売をせざるを得ない専業者よりも、よほど自由度は高いでしょう。
誰もが本を読まなくなった現代、古書業界の先行きは決して明るくありません。併売していたゲームソフトもCDも勢いをなくしていますし、漫画本ですら売れなくなってきていと聞きます。古書店が生き残る道はないのでしょうか?