ぼくはオンライン古本屋のおやじさん
「オンライン古本屋」が熱を持っていた頃のお話
ライター北尾トロさんが「オンライン古本屋」の開業について書いた、今から一昔前の2000年の作品です。登場するテクニックなどは、今となっては完全に時代遅れで全く役に立ちませんが、「誰でもオンラインなら古本屋になれる」というのが革新的だった頃の熱が伝わってきますね。
この当時は、ブックオフなどの登場によって、古書店の営業が苦しさを増してきた頃です。この本が発売された2000年にAmazon.co.jpがオープンしたようですから、エポックとなった年でしょう。
そんな時代に、自分の手持ちの本を処分したいから…という理由から、古本屋を立ち上げることを思い立ちます。パソコンにも詳しくなかったため、ブラウザはネットスケープ、在庫管理にエクセルも使わず、ホームページ作成ソフトでテーブル組みしたページに書名などをテキストで貼り付けるだけ。回線はISDNですらなく、プロバイダの容量を気にしながらの営業でした。この10年ほどでパソコン周りの環境は急激に変化したことが分かりますね。
環境は違えど、営業方法は今とそれほど変わっていないのかもしれません。小規模な古本屋の基本的な仕入れ方法は、ブックオフなどの古書チェーンやネットでの「せどり(転売できそうな本を見つけること)」です。今ではAmazonが圧倒的な存在になっているため、真っ当に挑んでも勝ち目はないのかもしれませんが、こんなゲリラ戦を挑んでいる方も少なくないのです。
個人的なことですが、この当時から本好きだった私は、トロさんのこうした活動に憧れて、この本もすぐに購入して読みました。残念ながら、私はオンライン古本屋の店主にはなり損ねてしまいましたが、色々と感慨深いですね。ちなみに現在、トロさんは古本屋を休止していて、ミニコミ誌や本の町づくりなどの活動も行なっています。本書で登場するメルマガは現在も発行を続けていて、私もいつの間にか10年来の読者なのかと、不思議な感じになりますねw
もう古本屋開業の参考になるような内容ではありませんが、ある時代を懐かしむ目的であればオススメです!