2012-05-26
京町家拝見 (SUIKO BOOKS 161)
京町家の写真集。今なお主が暮らす町家が拝見できます
京都の町家「京町家」の写真集。懐かしくも美しい町家建築は、奈良でも何件も見られますが、今なお主が生活している町家の様子が拝見できるのが、この本の最大の魅力でしょう。大事に保存されている建物と、生活している建物では、全く印象が違ってきます。
収録された町家は大きな商家であるケースが多いようで、昔ながらの風習を残しています。町家の中に、季節折々にお正月飾りがあったり、雛人形や武者人形が飾られたりしている光景は、なかなか見られないものです。さらに、京都らしく祇園祭の日には、表の格子などが取り払われ、宵宮飾りと称して各家伝来の美術品などが飾られ、人々が自由に見学できるようになるのだそうです。さすが京都ですね。
また、建物の細部もコレクション的に撮影した「暮らしの意匠ご構成」というページもいいですね。鍾馗さん・屋根・虫籠窓・格子・犬矢来・ばったり床几(しょうぎ。軒先にある折りたたみ式の商品陳列棚)・壁暖簾・店の間・箱階段・坪庭・はしり・欄間・襖・引手など、どれを観ても美しいですね。
小型の写真集ですので、写真の収録点数はそれほど多くありませんが、その世界観は十分に味わえました。