
2018-06-20
神饌 供えるこころ
神さまにお供えする「神饌」を通じて、カラフルで清浄な奈良の表情が見られます
「神饌(しんせん)」とは、お祭りなどで神さまにお供えする食べ物のこと。本書では奈良県内各地で献じられた神饌の美しい写真を中心に、それに込められた意味や歴史などを解説した一冊です。
古代の気配を漂わす奈良県各地の祭事でご神前に献じられるさまざまな「神饌」。そこにはあたたかで素朴な日本人の信仰のすがたが宿る―奈良の年中行事を追いつづける写真家の眼と、奈良を愛してやまない編集者の案内による、彩りも豊かな「神饌」の世界へのいざない―
「内容紹介」より
・第1章 神饌の色色
・第2章 神饌のかたちの不思議
・第3章 いのちを供える
・第4章 舞を供える、音を添える
・第5章 火を供える、水を供える
・第6章 神饌ができるまで
・第7章 直会のよろこび
奈良のお祭りには、古代から脈々と守り伝えられているものも多くあります。神さまにお供えする食べ物、火や水、舞や音などを通じて見ることで、その不思議な美しさが浮き彫りになってくるようです。
やはり、もっとも有名なのは談山神社・嘉吉祭の「百味の御食」でしょう。そのカラフルな様子はよく拝見しますが、本書ではそれを準備する氏子さんたちの様子もレポートされています。この他、各地で奉納される「スコ」などもとても美しく、神への畏敬の念が感じられます。
さらには、静かでうやうやしい舞、荒々しく清める火、神饌のお下がりをいただく直会など、神さまを敬う姿の多様さに、あらためて気付かされます。
奈良大和路の伝統行事を追ってきた写真家・野本暉房さんが切り取った光景は、美しさと驚きが感じられ、奈良の土地をあたたかな目線で語ってくれる編集者・倉橋みどりさんの文章は、とてもわかりやすく親しみやすいものでした。
神聖であり、清浄である奈良の表情がじっくりと見られる素敵な一冊です。興味のある方はぜひ!