2017-05-13

若狭の聖水が奈良に湧く

お水取りに福井県小浜市から水を送る「お水送り」について調べた一冊

東大寺二月堂で、毎年催される「お水取り(修二会)」。その10日前に、福井県小浜市で行われる「お水送り」の由来や意味などを調べた一冊。

お水送りについて詳しい資料は遺されていませんが、聞き取り調査などを行い、その謎に迫っています。100ページに満たない短さですが、これまで知らなかった知識が得られて面白かったです!

東大寺のお水取りの10日前に若狭でお水送りの行事があり、奈良への水が通る言い伝えが各地に残る。その謎を元朝日新聞記者が追う。 「内容紹介」より


二月堂のお水取り(修二会)は、752年に実忠和尚が始めました。諸国の神々が競って祝福した中で、若狭の遠敷明神だけが漁に勤しんでいて遅れたため、それ以降、二月堂の本尊へ供える聖水を献ずることを約束。白と黒の鵜が飛び出し、聖水が湧き出した、と伝わっています。

そして、その10日前に、若狭の遠敷川「鵜の瀬」で、90km離れた奈良へ聖水を贈る「お水送り」の神事が行われています。この法会は、室町時代に若狭神宮寺の僧侶たちによって行われていたことは確実視されるものの、実際には定かではないのだとか。

奈良時代から天皇や朝廷に食糧を送る「御食国(みけつくに)」だった若狭は、奈良との結びつきが強い土地でした。古い町並みが残る小浜は「海のある奈良」などと呼ばれたりもしますし、東大寺の高僧・良弁は若狭の生まれで、鷲にさらわれて東大寺二月堂前の杉(後の良弁杉)に置かれていたという伝承もあります。

また、神話に登場する鵜の役割だったり、奈良に古くから伝わる習俗事例に、清らかな水を「ワカミズ」「ワカサノミズ」などと呼ぶ事例が紹介されていたり、さまざまなアングルからお水送りに迫っています。

結論というものも出ませんし、ページ数も少ないのでやや消化不良な感もありますが、とても興味深い内容でした。いつかはお水送りに立ち会ってみたくなります!


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