古都・奈良の守り神を訪ねて 歩いてめぐる春日大社
春日大社を知る・楽しむために最適。バランスの良い内容で読み応えあり!
2016年の秋、20年に一度の「式年造替」で社殿も一新された春日大社。その魅力の味わい方を、初心者にも分かりやすく、それでいて下世話にならない(=パワースポットとしてはしゃがない)程度にたっぷりと案内した一冊。
解説も丁寧ですし、私のようなそれなりに基礎知識のある者にも「知らなかった」と思わせるようなポイントも多く、最後まで楽しく読めました。この本を参考に、神域を歩き回りたくなりますね!
今から約1300年前、奈良の都の守り神として創建された春日大社。平成28年秋には、20年に一度の「式年造替」(しきねんぞうたい)が行われ、社殿も新たに。いまこそ訪れたい日本の聖地です。
春日大社の神域は、貴重な原始林が今なお残る神山・御蓋山(みかさやま)を含む広大なもの。豊かな自然のなかで鹿たちが憩い、悠久の歴史や信仰を伝えるスポットが点在しています。本書は、美しい写真やわかりやすい地図とともに、春日大社をくまなく紹介するハンディなガイドブック。楽しみながら神域をめぐり、参拝することができます。
ほかに、花山院弘匡(かさんのいん・ひろただ)宮司のインタビューや、至高の祭典である式年造替の模様、所蔵する国宝・重文クラスの華麗な名宝、四季折々の祭りや花など、春日大社の魅力をあますところなく紹介。マニアックな情報も満載しています。
一読すれば、春日大社が守り伝える1300年の信仰と文化について理解が深められ、何度でも訪れたくなることでしょう。
「内容紹介」より
本書の目次は以下のようになっています。
【1】春日大社の神域へ ~初めてのお参りからリピーター向けコースまでを徹底ガイド
【2】花山院弘匡宮司に教わる春日大社のなりたち
【3】20年に1度、神様のお住まいを新しく ~式年造替を知る
【4】麗しの超逸品をご紹介 春日の名宝
【5】四季の祭りと花でつづる 春日歳時記
春日さんの魅力や特徴をまんべんなく紹介していますが、とくに充実しているのは【1】のコースガイドですね。どこに何がある・見どころはこれ、というような基本的な情報に加えて、他の本ではなかなか気づかないようないろんな知識が混ぜ込まれています。
春日荷茶屋や重森三玲庭園の紹介があったり、釣燈籠や春日七燈籠の見分け方、若宮15社めぐりのやり方、「禰宜道から高畑へ」「水谷道から若草山へ」といったコースの紹介など、あらためてじっくりと参拝したくなる情報が多かったです。
また、(当たり前のことですが)知らずに通り過ぎていた橋や道など、いちいち丁寧に正式名称が書いてあったりするのもいいですね。たとえば、本殿から若宮へ向かう道は「御間道(おあいみち)」、そこにかかる丹塗りの橋は「布生橋(ふしょうはし)」など、まったく知らなかったような名前が次々と登場します。
こうした観光ガイド的なページばかりではなく、花山院宮司から春日大社の歴史が語られたり、その御神宝について詳しく紹介されたり。四季の祭りのページでも、知らなかったようなものも多く見られ、とても興味深かったです。
単なる初心者向けのガイド本かと思って軽く見てましたが、役立つ情報もあり、読み応えもありで、とてもバランスの良い内容でした。興味のあるかたはぜひ!