2016-04-19

しかしか

町中で暮らす「鹿しか」写っていない写真集。不思議な惑星のよう!

写真家・石井陽子さんが、奈良と宮島に通いつめて撮影した、「鹿しか」写っていない写真集。

いずれも町中の人と近い場所に暮らしている鹿たちだけに、舞台は民家やホテル、工事現場やお土産物店など、人工物に自然と鹿が溶け込んでいます。そして、あえて人間の姿は一切いれず、まさに鹿の惑星のような不思議な雰囲気を感じさせています。アイディアですね!


説明文:「ようこそ、しかの惑星へ――。しかしか写ってないんです。しかに魅せられた「しか写真家」による、しかしかいない写真集。住宅地に、駐車場に、お土産物屋さんの店内に……人間の暮らしに入り込む、しか・鹿・シカ!人工物のなか悠然とたたずむその姿は、圧倒的な違和感と不思議な愛嬌がたっぷり。しかってこんな顔してたっけ?あれ、案外カワイくない?」


カメラによって切り取られた鹿たちの姿は、一頭ごとに違います。ひとりでぼっちで歩く鹿、集団で列を作って歩く鹿、喧嘩する鹿、顔を寄せあってひそひそ話をしているような鹿、全力で走る鹿、ジャンプしている鹿。

地元民にとっては見慣れた光景ですが、私のような他所から来た人間にとっては、いまだにどこか別の惑星にでも来たのか……というくらい、強烈な違和感を感じる瞬間があります。町中で鹿しかいない風景は、そういった感情を上手く刺激してくれて、とてもおもしろいですね。

また、私は奈良の鹿は普段から目にしていますが、やはり海を背景にした宮島の鹿の写真には、いつも驚きます。

登場する鹿の数は、トータルで207頭!巻末には、鹿の種類や寿命などのコラム「しかをしる」も収録されていて、鹿好きであればぜひ手にとって欲しい一冊です!



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