2016-02-11
南都 西大寺の四季―中淳志写真集
西大寺の一年を追った写真集。法要の風景や仏像写真もあり、駆け足でガイドしてくれます
奈良市の古刹「西大寺」の四季の風景、行事などを丹念に追った写真集。
西大寺といえば、大きな茶碗でお茶をいただく「大茶盛」が有名ですが、本書ではその場面はほんの一部。年間通じて行われている法要などをしっかりと追っています。また、祀られている仏像の画像などもあり、西大寺の一年をざっと駆け足でガイドしてもらった気分になりますね!
西大寺は、764年の藤原仲麻呂の乱の発覚に際して、孝謙上皇が四天王像を造立することを誓願し、翌年に金銅製の四天王像を祀ったことに始まります。南都七大寺のひとつに数えられ、かつては広大な寺域を誇る大寺院でしたが、次第に衰退。鎌倉時代の叡尊上人が再興し、現在は真言律宗の総本山として、全国九十数ヶ寺の中心となっています。
この写真集では、法要なども丹念に追っていますが、護摩供の祈祷のシーンが多いことに驚きます。
また、世間的にはあまり有名ではないかもしれませんが、美しい秘仏・愛染明王坐像をはじめ、渡海文殊、清涼寺式釈迦如来像、巨大な長谷寺式の十一面観音立像、大きなサイズの四天王立像、きりっとした表情の興正菩薩叡尊坐像など、多種多様な仏像をお祀りしています。こうした仏さまの姿もしっかりと収められているのがいいですね。
「西大寺の四季」のタイトルどおり、南都の大寺院の活動が実感できる写真集でした。