レトロ銭湯へようこそ 関西版
関西の47の名銭湯を集めた一冊。雰囲気バツグン!今すぐ行きたくなります!
関西各地のレトロな雰囲気を味わえる47の名銭湯を集めて紹介した一冊。いまやどんどん数を減らしている町の銭湯(温泉)ですが、その魅力を素敵な写真を用いてたっぷりと伝えています。
筆者の松本康治さんは、神戸在住で銭湯取材・撮影をライフワークとされている方です。2009年に発売された『関西のレトロ銭湯』(町田忍さん監修)の写真などを手がけており、この本が絶版扱いでプレミアがついているような状況のため、いいタイミングで本書が登場してくれて嬉しい限りです!
説明文:「夕暮れの街かど―ふと曲がった先に揺れる「ゆ」ののれん。薪を焚く香りがほのかに漂い、風呂道具を抱えた人たちが三々五々やってくる…。そんな懐かしの風呂屋が、いま猛烈な勢いで日本中から消えている。江戸時代からの伝統を受け継ぎ、関西各地に現存する貴重なレトロ銭湯で、今宵ひとっぷろとまいりましょう。今ならまだ間に合う!昔ながらの風呂屋47選。」
本書を手にしてみて、関西の銭湯文化の充実をあらためて実感します。数は減っているにしても、まだまだ素晴らしい銭湯が稼働中です。
第1章からして「お風呂付き登録有形文化財」というレトロの極みのような銭湯が3ヶ所も登場します。三重県伊賀市「一乃湯」、大阪市生野区「源ヶ橋温泉」、京都府北区「船岡温泉」と、どれも素晴らしい雰囲気で、お風呂屋さんとして営業を続けられていること自体が奇跡ともいえるかも。いつか入りに行きたい物件ですね。
さらに、関西全域をエリアごとに紹介していて、奈良県からは奈良市「扇湯」「大西湯」、橿原市「蘇武湯」、御所市「新産湯温泉」、五條市「栄湯」、大淀町「旭湯」の6軒が紹介されています。どれもとてもいい雰囲気です。
本書のすごいところは、単にオープン前のガランとしたお風呂を撮影するのではなく、男性客が入浴しているシーンを撮っているため、臨場感やスケール感があることでしょう。こういった写真を掲載して出版するのにも何かとややこしいご時世ですから、これだけでも苦労が忍ばれます。もちろん、建物や浴槽、タイルなどの細部の写真もしっかりと掲載されており、雰囲気がしっかりと伝わってきます。
ふらりと行く銭湯へ行く習慣を無くしてしまってますが、この空間を味わうだけでも数百円を支払う価値はあるでしょう。スーパーな銭湯とはまた違った楽しみ方がありますね。
失礼を承知で言えば、設備の老朽化などにともない、どの銭湯もいつまで営業を続けられるとは思えません。また、今の侘びた雰囲気がずっと残るとも限りません。この本を参考にして、すぐにでも銭湯巡りで出かけるべきでしょう!