奈良 歴史地図帖 (小学館クリエイティブ単行本)
各時代の地図をベースに、奈良の歴史のお勉強。「歴史の授業で使用する副教材」的な一冊
地図ページを豊富に掲載し、奈良の歴史と現代の様子をより理解しやすく解説した一冊。古代から奈良時代までの歴史的な出来事が分かりやすく並んでいて、「歴史の授業で使用する副教材」といったイメージですね。奈良検定のサブテキストにもちょうど良さそうな難易度です。
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説明文
奈良を知って訪ねる歴史探訪・地図帖
いにしえの都「平城京・奈良」を豊富な地図を使って、歴史的なポイントや事件の背景を紹介した歴史探訪地図帖です。奈良の歴史散歩が楽しくなる、おすすめの探訪コースを掲載。
・千三百年前の「平城京」と現代の「奈良」を鳥瞰図で比較する、四神に守られた「風水地図」や「都の配置図」。飛鳥・白鳳・天平の名品、国宝級の「仏像分布地図」など多彩な地図を掲載。奈良の大仏様で親しまれる「東大寺」、平城の都を鎮護してきた「春日大社」など古寺・古社を紹介する頁《古寺・社を訪ねる》は、詳細な境内図付で実際の拝観にとても便利。
・地図を読み解くことで、新しい「奈良」の歴史が見えてきます。
・訪ねる時期の参考になる祭りや年中行事を紹介します。
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奈良の歴史を解説する本は数多く出版されており、こうした地図と絡めて理解を進めようというものも珍しくありません。私も何冊も読んできましたが、本書はかなり手堅い内容です。あまりひねった構成にせず、とても読みやすいですね。
単純に歴史的な出来事をテキストで並べるのではなく、地図上に落としこんで位置関係を理解すると、別の気付きがあるものです。
碁盤の目のように整った平城京の中でも、興福寺や東大寺がある一帯は「外京」として、中心部から離れたところに作られています。現代の感覚でいうと、奈良公園の周辺が中心部ですから、「どうしてこんなに離れた場所に建てられたんだろう?」と不思議に思ったりします。
また、今ではやや他の観光地から孤立した感のある大安寺などは、右京の薬師寺とほぼ対象となる位置に、左京の重要な位置を占めていたことが分かったりします。
平城京だけではなく、藤原京や山の辺の道を俯瞰してみると、いろいろと気づきがありますね。
奈良の歴史がマップとテキストで解説されるだけではなく、現在の主要エリア(飛鳥・斑鳩・山の辺の道・吉野・葛城など)の解説、そして各エリアの主要な寺社は2ページの見開きで見どころを掲載しています。さらに、オススメの歴史探訪コースなども紹介されていて、この本を持参して歩いて、歴史探訪するのもいいですね。
解説のテキストも、適度にディープで面白いです。しかし、東大寺大仏殿の柱に開いた穴(大仏さまの鼻の穴の大きさと同じとされるもの)について、自信満々で「残念ながら大人がくぐるには無理な大きさである。」と言い切ったりしているのが、ちょっと気になりました(笑)(※大人でも普通にくぐれます)