わかる! 元興寺 ―元興寺公式ガイドブック―
世界遺産寺院を分かりやすく紹介。まさに「一冊まるごと元興寺」の贅沢さで見どころ多数!
世界遺産にも登録された寺院・元興寺(公式)について、歴史や文化財、活動内容などを詳細に記したもの。元興寺公式ガイドブックと銘打っているだけあって、まさに「一冊まるごと元興寺」というべき贅沢な内容です。
説明文:「飛鳥・平城を経て、今日まで、1400余年の歴史がある元興寺の歩みと、国宝を含む多くの重要文化財と史跡を美術史・仏教史・考古学の視点から調査研究の成果をわかりやすく紹介。」
飛鳥の都に前身(現在の飛鳥寺)が建立されて以来、元興寺は1400年余の歴史をもちます。今なお古い町並みが遺る「ならまち」エリアは、もとはすべて元興寺の境内でしたから、大変な規模を誇っていたのです。
他の世界遺産寺院と比べると、規模も小さくなり、あまり目立つことはありませんが、さすがに素晴らしい文化財の宝庫です。本書では、仏像や美術品、建築物、そして貴重な文化財の保存修理などを行う「元興寺文化財研究所」などについて、分かりやすく解説されています。
キーワードだけ拾っていくと、●極楽堂の建築 ●元興寺の創建年代 ●五重小塔(国宝) ●創建当初から遺る瓦 ●数種類ある智光曼荼羅 ●豊富な仏像と仏教民俗資料 ●境内に多数遺る石像供養塔 ●ならまちと元興寺 ●ガゴゼとは ●元興寺を愛した芸術家たち など。
長い歴史を誇る名刹だけに、どの項目も興味深い内容ばかりです。
境内の石造物というと、浮図田(ふとでん)と呼ばれる石塔が並んだものが有名ですが、これは1988年にこうして並び直される前は、禅室の脇に積み重ねられていたのだとか。また、駐車場の南側に並ぶ石碑や石仏は、奈良市肘塚町の工場敷地に祀られていたものが行き場を無くしてしまい、2002年ここへ移されたのだそうです。
最後にメモ代わりに。お寺の伽藍配置は、金堂を中央とし、東西に塔を建てるのが正式とされます。元興寺では東に大塔がありましたが、西には存在しません。その代わりに「小塔院」という建物があり、元興寺の五重小塔(国宝)はここの本尊として造られた可能性があるとか。
こんな渋い内容はもちろん、分かりやすく幅広い内容が紹介されていますので、ぜひ手にとってみてください。お値段も800円(税別)とお手頃ですよ!