入江泰吉 大和路巡礼 愛蔵版
入江泰吉さんの生誕100年記念に出版された愛蔵版作品集。大型本だけに迫力あります!
奈良大和路を撮りつづけた写真家・入江泰吉さんの、生誕100年記念として出版された愛蔵版作品集。奈良の懐かしい風景から、東大寺・お水取りの様子を写したもの、美しい仏像たちの凛とした表情を捉えた作品まで、約140点が収録されています。入江さんの写真集は、これまでにも何作も手にしてきましたが、大きなサイズの愛蔵版だけに迫力が違いますね!
説明文:「仏像と風景写真で伝える奈良大和路の魅力。戦後から約半世紀にわたり、日本人の心のふるさとといわれる奈良大和路を撮りつづけた写真家・入江泰吉の生誕100年を記念して企画する愛蔵版作品集。大和路のさりげない景観に漂う余情を表現し、"入江調"と呼ばれる作品には、今なお根強いファンが多い。本書では、東大寺・興福寺・法隆寺・薬師寺・唐招提寺など、入江が幼い頃から慣れ親しみ、半世紀にわたり一貫して撮りつづけた南都の大寺とその仏像を中心に構成、その作品世界のエッセンスを一冊に凝縮して、大和路の風景と大和の仏像の魅力を堪能する。写真点数はモノクローム作品(主に仏像・堂搭)とカラー作品(主に風景)を合わせて約140点。」
田舎の何気ない風景から、普段は目にできないような法要の現場まで、入江さんの写真は今は失われてしまった昭和の奈良の空気を伝えてくれます。
入江さんの生前から、奈良に当たり前のように存在していた田舎の風景がどんどん消えていくことを憂いていたそうですが、事態は好転することはありませんでした。ただただ憧憬を交えて、ため息をつきながら眺めるばかりです。
私のような写真の素人の感想ですが、多くのカメラマンのようにアングルに凝っていることを直接的に伝えるのではなく、とてもさりげなく、とくに作為もないように風景を切り取っていくのが素晴らしいですね。誤解を招く言い方かもしれませんが、「アーティストよりは記録者に近いように感じさせる芸術家」というように思わせます。どの写真も食い入るように見つめる価値のあるものばかりでした。
1万円ちょっともうする豪華本ですから、なかなか気軽に購入できるものではありませんが、奈良県内の図書館などで見つかると思いますので、ぜひ探してみてください!