
古都トコトコ記・断食への道 (角川文庫)
女性詩人・銀色夏生さんが、奈良などを旅したエッセイ集。全体的にぬるーい感じです
女性詩人であり随筆家、写真やイラストも手がけるアーティスト・銀色夏生さんが、奈良と京都・出雲を旅した様子を描いたエッセイ集。断食合宿や故郷宮崎でのお散歩日記も収録されています。
この方のお名前はずっと以前から知っていたんですが、つい最近まで男性だと思っていたくらいで、作品を手にとったのは初めてでした。特に古都の文化財や歴史には詳しいわけではなく、何となくフラリという感じの旅だったようで、とても気楽に読める内容です。
説明文:「鹿や仏像や古墳を見た奈良、娘カーカと廻った京都、初めての出雲大社、ふたたび挑戦した断食、そして故郷宮崎で夕方のお散歩。さまざまな場所を通過してそれぞれの場所で思うことあり。まだまだ旅は続く。」
冒頭から奈良の旅なんですが、ところどころに面白い表現が織り込まれていたりして、さすがと思うような箇所もありました。しかし、私のような古都にどっぷり浸かっているような人間にとっては、特に目新しところへ行くでもなく、深みも感じられません。
正直なところ、筆者さんがどういう方で、どんな仕事をしてきた方なのかを知らずに読むと、特に面白いものではありません。知らない方の旅行日記をブログで読んでいるみたいなものですから、当然でしょう。「他府県の一般女子は奈良へ旅行に来るとこんな風に感じるものなのか」という観点から見るとちょっと新鮮でした(笑)
この旅は、何回かに分けて行われています。まずは浄瑠璃寺から始まり、奈良博・東大寺・興福寺・薬師寺・唐招提寺などの有名どころを周り、その1年後には、今度は飛鳥方面や橿原神宮、山の辺の道などを歩き、さらに法隆寺や中宮寺もお詣りしてますから、かなり丁寧に観ていただいたんだと感謝したいくらいですね。
この奈良の旅について、本書の後書きにこう記されていました。文中からあまり楽しそうでもなかったのですが、それなりに楽しんでいただいたみたいで良かったです(笑)
「奈良めぐり。最初はひとりで静かに仏像と向き合って、仏像を好きになるか試したいと思っていたのですが、いつのまにか仏像を見ることも忘れ、ただ景色の中を漂う感じになりました。私はやはり、仏像や神社にあまり興味がないみたいです。奈良の自然の中をゆらゆら歩くのは、暑かったけど、今思えば楽しかったです。でもなぜ、楽しいのはその時ではなく、終わってからなんだろう。いつも。」
奈良の旅は最初の60ページくらい。他の文章もこんな感じで続きます。個人的には「断食への道」という、伊豆の宿で行われる、見ず知らずの方たちが集まる断食合宿のようなところに参加したものが興味深かったですね。書き手自身も、他の旅行中の文章よりもどこか楽しそうで、ちょっと不思議な読後感がありました。文庫本ですし、興味のある方は気軽に手にとってみてください。






































