ペナント・ジャパン
1970年前後に流行した三角形の「観光ペナント」100枚掲載。歴史などを紹介した一冊です
お土産の定番だった三角形の「ペナント」についてまとめた一冊。2004年とやや古めの本ですが、日本全国の100枚のペナントを紹介してあって、なかなか充実しています。単純に懐かしくてレトロなデザインは斬新に感じられますが、最近の若者は実物を見たことすらないかもしれませんね。
説明文:「 札幌・昭和新山・青函連絡船・恐山・十和田湖・なまはげ・八幡平・蔵王―など日本全国の観光ペナント一〇〇枚をカラーで掲載。いまや希少価値の日本国内の観光地をモチーフにしたペナント100枚を地域別・図鑑風に紹介。ペナントの生い立ちや日本での流行の歴史から、昭和の観光ブーム、戦後日本家屋との関係、図像・風景論まで充実の内容。」
観光ペナントのブームのピークは、1970年の大阪万博の前後のこと。「デイスカバージャパン」のキャッチフレーズのもと、国内の旅行が活発化した時代です。50年後半~80年前半までに約30年ほど製造されていたのだそうです。その当時は旅行のお土産の定番であり、部屋の壁に三角形のペナントがずらりと並ぶ姿は、若者や少年の憧れでもありました。
私自身(1969年生まれ)は、そのブームの香りを少しだけ知っている程度。親戚の家の壁に大量のペナントが貼ってあって、ちょっとかっこいいと憧れた記憶がありますが、自分で購入した記憶はありません。
この本で改めて100種類ものペナントを見てみると、時代の流れが感じられて面白いですね。凝った観光地の刺繍に、大きなアルファベットや漢字が入り、周りには房飾りが。初期のころは2色だったり、最後の方には写真入りになっていたりと、色んなパターンがあるんですね。妙な高級感と荒っぽさがあって、当時の少年たちを惹きつけたのも納得できる気がします。
私が住む奈良からは、奈良公園・法隆寺・吉野・長谷寺と、4種類のペナントが掲載されています。さすがに観光県だけあって、もともとものすごい種類のペナントが作られていたんでしょうね。他県を見ると、岩手の「陸中海岸一周」、福井の「レインボーライン」、鳥取の「大山縦走」など、観光地としてちょっと変わった場所のものもありますので、いかに定番の土産物として浸透していたのかが分かります。
本書の著者さんも、私と同様にペナントのブームには遅れてきた世代で、大人になってから捨てられそうなペナントを探しまわって、コレクションをしたのだとか。このため、熱狂的なマニア目線ではなく、比較的クールな目で観ているので、ちょうど読みやすい感じです。展示スペースを使っての「ペナント展」のようなものも実施されていますので、これは今でも見てみたいですね。
後半の綴じ込みページには、ペナントの歴史や工場へ行った記事などもありますので、読み物としてもなかなか面白いですね。新品で手に入れるのも難しいかもしれませんが、お好きな方はぜひ探してみてください!