
2013-05-02
よみがえる天平文様
正倉院宝物の美しい文様を再現。美術書としても、古都っぽいデザイン本としても使えます!
東大寺「正倉院」に伝わる美しい宝物たちの文様をトレースし、欠損部分や色合いを想像し、現代に蘇らせた一冊。正倉院文様を取り入れた、古都っぽいデザインを考えたりする際には必携ですね。デザインアイディアの宝庫です!
筆者さんは、奈良女子大学の特任教授の方。今から千年以上も昔に造られた正倉院の宝物を研究し、図版をもとにイラスト化の作業をなさっています。古いものだけに、もとの形や色彩は失われていることも多いのですが、それをCGで鮮やかに蘇らせました。本物の正倉院宝物は登場しませんが、現物を上回るような美しさで、伝統的な文様が再現されています。
説明文:「千年の時を経てなお燦然と輝く至宝の数々を見事に紙上再現!天平時代の宝物にあしらわれた文様を、現代的な視点で再構築した天平文様のデザイン画集。」
本書では、185種類の宝物が北倉・中倉・南倉に分けて掲載されています。紅牙撥鏤尺・螺鈿紫檀五絃琵琶・平螺鈿背八角鏡など、今なお美しい文様を持つものはもちろん、素地が劣化してしまった布製品なども、見事に再現されているのがいいですね。宝物の姿を思い浮かべながら美術書として見てもいいですし、それとは無関係のデザイン書としても面白いです。
それぞれ2ページの見開きになっていて、左ページには大きめの図版、右ページには解説とその一部が大きめの線画で掲載され、形状が見やすいようになっています。はっきりと浮かび上がった天平の文様をじっくり見ていくと、改めて素晴らしい技術で造られていることが分かりますね。必ずしも本物に忠実に再現…というものではないと思いますが、そのエッセンスは十分に伝わってきます。
めくるめく天平デザインの世界へ浸れる良書ですので、興味がある方はぜひ!