昭和レトロ商店街―ロングセラー商品たちの知られざるヒストリー
ケロリン、正露丸、都こんぶ。誰もが知るロングセラー商品についてのエッセイ集
「庶民文化研究家」を名乗る町田忍さんの、2006年発売された著作。懐かしさの漂うロングセラー商品についての38のコラムを収録していて、レトロものが好きな私は楽しく読めました。こんな内容が、もとは某包装業界誌に連載されていたものだというのですから、不思議ですね(笑)
説明文:「ケロリン、正露丸、グリコキャラメル、赤チン、都こんぶ…。時代を超えて愛されてきた商品たちのおもしろエピソードをめぐるコラム集。月刊誌『パックピア』連載「庶民文化の旗印」を加筆修正し、図版を加えて単行本化。」
取り上げるアイテムは、つい先日製造会社が倒産してしまったケロリンおけから始まって、正露丸、のりたま、仁丹、蚊取り線香、甘栗三兄弟、ローカル納豆、コアラのマーチ、古い缶コーヒー、都こんぶ、コカコーラとペプシコーラ、ラムネ、はいとりがみ、ごきぶりホイホイ、崎陽軒のひょうちゃん、キンカン。ポカリスエットなど。中年世代ならどれも見覚えのあるものばかりでしょう。
これらの商品開発のエピソードや、当時の時代背景、個人的な思い出話などを交えながら、見開き4ページほどの読み物にまとめています。
町田さんは、研究家でもあり収集家でもあるため、これらのアイテムを手当たり次第にコレクションしています。自分のコレクション画像を紹介しながら、資料にあたって調べたり、取材へ行ったりしているのですから、どの回も説得力があるんですよね。
例えば、大村崑さんのホーロー看板でも知られる「オロナミンC」の項目では、開発の逸話などとともに、こんな話も紹介されています。
●大村崑さんは、新幹線に乗る前には、ファンに写真撮影を頼まれた時にさっと取り出せるように、オロナミンCを買ってポケットに入れておいた
●テレビコマーシャルは巨人軍の選手のものを流していたが、当初はその後に阪神の選手を起用する予定だった。9連覇を達成するほどの黄金時代だったためボツになった
こういうちょっとしたネタが面白いですね。好評だったのか、続編となる『帰ってきた! 昭和レトロ商店街』という作品も登場しているようです。昭和レトロがお好きな方はぜひ!