
奈良時代一周~まほろばを歩く
NHK人気番組のスピンオフ企画的な一冊。奈良時代を1年1エピソードで俯瞰していきます
NHKで放送されていた「45日間奈良時代一周」のアドバイザーを務められていた、阪南大教授の来村多加史さんの著作。番組のスピンオフ企画的な位置づけで、2010年6月に発売されました。
私は番組を観ていなかったので詳しくは分からないのですが、本書では平城京に遷都されて奈良時代が始まった710年に始まり、長岡京へ都が移った784年まで、1年ずつその年に起こったエピソードを紹介していく面白いスタイルになっています。
紹介文:「日本の原点が形作られた奈良時代。710年~784年の歴史を1年ずつたどる75編の物語が、その淵源にさかのぼり、その躍動を伝える風物をひもといていきます。NHK番組「45日間奈良時代一周」のエッセンスが満載。併載写真は約150点。巻末には「奈良を語るための豆知識80話」(英語・中国語・ハングルの対訳付き)を併載して、とっておきの奈良情報をコンパクトに紹介します。」
大きな内乱は少なかったものの、血なまぐさい政争に明け暮れた奈良時代。大雑把な流れは把握していても、より細かく見ていくと新しい発見があります。
例えば、737年は日本中で天然痘が流行り、政界を牛耳っていた藤原氏の四兄弟が相次いで亡くなります。まず4月に次男の房前(57歳)が、7月には4男の麻呂(43歳)、7月に長男の武智麻呂(58歳)、8月に3男の宇合(44歳)が亡くなるという、まさに異常事態ですね。その原因となったのは、同年の正月、遣新羅大使が帰国した際に対馬で病死、副使も発病していたとか。こうして大陸から持ち込まれた疫病はまたたく間に広がり、真っ先に発病した房前を見舞った際に兄弟全員が羅病したのでしょう。
さらに、その8年前には藤原四兄弟が中心となって、最大の政敵・長屋王を自害へ追い込んでいますので、その祟りと考えられるのは当然のことだったかもしれません。ちなみに、その後の政界の中心を担うことになる僧・玄昉と吉備真備は、735年に帰国しています。天然痘の大流行を無事にやり過ごせたんですね。
このように、歴史の流れを少し違ったアングルから眺められるのが本書の楽しみ方でしょう。中には、「ペルシャ人の来日」「奈良時代の目安箱」「僧侶も賭博」「奈良時代の不倫スクープ」など、ちょっとした小ネタっぽいものが入っていたり、その年とは直接的な関係の薄いエピソードが紹介されたりもしますが、それも含めて面白いですね。1年につき1ページずつですので、それぞれのエピソードはあまり深まりませんが、奈良時代を一覧するという目的は果たせているでしょう。気軽に読める一冊ですね。






































