
日本の「かわいい」図鑑 ---ファンシー・グッズの100年 (らんぷの本/マスコット)
日本の「カワイイ」を大正時代から振り返る一冊。日本の伝統文化ですね!
世界へ輸出され注目が集まっている、日本の「カワイイ(kawaii)」文化の流れを、大正時代から追った、読みやすくも硬派な一冊。大正という時代が始まってちょうど100年が経つ今、こうした見過ごされがちな分野の産業史がまとめられるのは価値あることだと思います。
私は、昭和40年代生まれ、男兄弟に育ちましたので、身の回りにファンシーグッズと呼ばれるようなものはありませんでしたが、それでも見覚えがある絵柄も多く、いかに流行していたのかがよく分かります。以前、テレビで昭和初期に登場し、後に雑誌を出版、デザイナーとしても活躍された「中原淳一」さんの特集を見て、この手の世界に少しだけ興味を持っていたのですが、この本はとても楽しく分かりやすい内容でした。
第1章は大正~昭和初年代「大正ロマンの世界に『可愛い』が芽生える」。竹久夢二、高畠華宵、加藤まさをなど、いかにも大正ロマン的な絵柄なものが登場します。竹久夢二が描いた少女は、目を丸く大きく、現代のカワイイの原型を思わせます。
その後、戦争前後の「『可愛いは禁止!』の時代だったけれど…」では、松本かつぢ・佐藤漾子が、戦後の「日本経済とともに『かわいい』も成長」では、いよいよ中原淳一が紹介されますが、やや彼の作品の紹介は少なめでした。しかし、彼の影響を受けた内藤ルネ・水森亜土・田村セツコ・わたなべまさこ・高橋真琴などが作品とともに紹介され、圧巻ですね。その当時はこうした少女絵は全く区別ができませんでしたが、適度なレトロ感が出てきて、とても面白いデザインに感じられます。
昭和50年代以降の「日本の『カワイイ』が世界の『kawaii』へ」は、それほど詳しく記載されていません。この辺りは現存している資料も多いため、他の本を当たるべきでしょう。
また、「少女たちの証言」というインタビュー形式の短い読み物が挿入されていますが、これも面白いですね。最も上の方は大正4年生まれ、下の方は平成2年生まれ。ファンシーグッズとの付き合い方はさまざまで、少女たちが憧れる高嶺の花から、どこででも手に入る時代への変遷が見て取れます。
日本的なファンシーの歴史を俯瞰するには最適の一冊ですね。この「らんぷの本」シリーズでは、同種のテーマのものも発売されているようですから、ぜひそちらも読んでみたいと思います。






































