奈良の銘酒
清酒発祥の地・奈良の22の蔵元が紹介された一冊。日本酒好きは必読です!
元は酒類のバイヤーだったという筆者が、奈良県内の22の蔵元を訪ね歩いて、その特色を紹介した一冊。私自身、奈良の日本酒が大好きでよく飲んでいますが、この本は「もう少し蔵の違いなどの知識が身についてから読もう」と後回しにしていました。ようやく満を持して手にとってみると、面白いです!奈良県内の蔵それぞれの違いなどが見えてきて、これからより楽しめそうですね。
全国的にはあまり知られていませんが、奈良は「清酒発祥の地」で、美味しい日本酒が作られている土地です。本書も、簡単な日本酒の歴史をひも解き、清酒が生まれた奈良・正暦寺のご住職へのインタビュー、そして「菩提もと」という酒母を使って古い時代の日本酒を復活させたお話などが冒頭から語られています。
続いて、奈良県内の蔵元が紹介されていきますが、知名度が(おそらく)全国区の、「春鹿」の今西清兵衛商店さん、「やたがらす」の北岡本店さん、「梅乃宿」の梅乃宿酒造さんなどはもちろん、なかなか一般に流通しない「風の森」の油長酒造さんなどが取り上げられています。油長酒造さんなどは、別ページでお若い杜氏さんが紹介される力の入れよう。奈良の日本酒販売店へ行くと、こっそりと「風の森のいいのが入りましたよ!」と勧められるような商品づくりをしている蔵だけに、注目度が違います。
もともと私は奈良の人間ではありませんでしたから、以前は奈良のお酒のブランド名を聞いてもピンと来ていませんでした。しかし、今となっては、豊祝・往馬・萬穣・稲天・初霞・百楽門・櫛羅・猩々・花巴など、名前を聞いただけでうっとりできるようになりました。
日本酒は、ただ美味しい美味しいと飲んでいるだけでも楽しいのですが、ちょっとテーマを決めたり、同じ蔵のものを飲み比べるとか、各蔵の菩提もとだけを味わうなどすると、より楽しめます。次からはこの本を熟読してから挑みたいと思います!