2012-06-20
バス停留所
日本全国に佇む「バス停留所」の写真集。幼い頃の記憶が蘇ります
12年もの歳月をかけ、47都道府県を巡って各地の「バス停留所」を撮影した一冊。収録点数は188ヶ所。全てモノクロで撮影されていて、時代に取り残されたような、どこか懐かしい空気が感じられます。
バス停が設置された場所はそれぞれですから、周囲にはありとあらゆるものが写っています。変哲もない田舎道だったり、工場の前や海沿い、お寺や学校の前。そこには、楽しげに遊ぶ少年少女の姿がある一方で、それほど遠くへは行かないであろう、日常生活に埋もれた老人の姿や、所在無さげに佇む野良犬が写っています。
木の杭に丸い看板が取り付けられたバス停の目印自体、改めて見ると不思議なものです。現代は、全国のバス路線が次々と廃止されています。バス停自体が時代遅れであり、非効率的なものの象徴にすら感じられるほどです。しかし、そこを起点として、はるか遠い世界へ繋がっていることは間違いありません。
私個人の話ですが、雪国の海岸地帯に育ったため、バス停にはブロックを積み上げた粗末な小屋があるのが当然でした。電車の駅からも遠かったため、遠出の際には必ずバスを使い、やってくるバスをワクワクしながら待っていたものです。いつからかバスに乗らなくなりましたが、その当時の海風が吹き付ける様子が蘇ってくるようで、とても懐かしく感じました。
これも消えゆく日本の大事な風景たちですから、興味のある方は手にとってみてください。