ミステリーウォーク 奈良一万歩―歩こう奈良!歩こう一万歩!
1996年の刊行。奈良市内の謎めぐりウォークに携帯したい一冊
奈良市観光協会が1996年に出版した一冊。奈良市内の謎めぐりウォークに携帯しやすい内容とサイズになっています。今から15年も前の古い本なので、やや古い記述も見られますが、奈良の歴史的な小ネタ(?)がお好きな方であればそれなりに楽しめるでしょう。
内容は、奈良市内で「ミステリーウォーク」「バラエティウォーク」と、それぞれ一万歩で歩けるようなコースが紹介されています。各コースの最初のページに、イラスト入りのマップがついていますが、実際の街歩きに使えるような縮尺ではないため、メインのガイド本としては使用できないでしょう。
掲載されていた内容から気になったものを、メモ替わりにいくつかご紹介しておきます。
●ならまちの御霊神社の狛犬の足には、「家出防止」の願いをこめた紐がくくりつけられている
●東大寺・大仏殿前の御影石は8列あり、それぞれ少しずつ違う。中央から外側へ、青いのがインド、赤いのが中国、白いのが朝鮮、最後が日本と、石の産地によって仏教伝来を表している。これは建築家の黒川紀章氏の設計だとか
●佐保川べりにある「宇宙経典」(宇宙庵吉村長慶。明治時代に世界平和を訴えていた方)の文字。その近くにある同氏が開いた寺院・長慶寺には石碑がいっぱいある
●ウワナベ古墳・コナベ古墳の名前のもとになった言葉、「うわなり」は後妻を、「こなり」は本妻を指す。ちなみに、古墳は後妻(コナベ古墳)の方が大きい
●薬師寺の東僧坊あたりに、『大和古寺風物詩』などを著した「亀井勝一郎文学碑」が立っている(何度も行ってるけど知らなかった!)
●登大路町の県営駐車場の脇にひっそりとある、奈良の県花「ナラノヤエザクラ」の木は、興福寺・東円堂の前にあったもの。孝謙天皇が宮廷に植え替えようとしたら興福寺の荒くれ法師たちが反対した、というエピソードが有名。
●春日大社と高畑の間のどこかに、「空也上人」の碑が立っている。その脇の暗がりに、口から仏さまを出した空也上人像があるらしい!
ちなみに、私は奈良きたまちの雑貨店「フルコト」さんの蔵書の中で見かけて、帰宅してからさっそくAmazonで調べてみたら、中古品が数百円で手に入りました。中古本の在庫もかなり減っているようですので、興味がある方はお早めにどうぞ(同種でもっと内容が新しい本もあると思いますが)。