2012-05-07
ぶらり散策 懐かしの昭和―消えゆく昭和の建物をたずねて
「庶民文化探求家」町田忍さんの世界への入門編に
「庶民文化探求家」を名乗る町田忍さんの2001年の著作。町を散策して出会える昭和的な懐かしいものを紹介しており、デパート・銭湯・遊郭・薬局・写真館がテーマです。町田さんは、銭湯研究で有名な方なので、大型本「銭湯遺産」などの素晴らしい著作があります。しかし本書では銭湯のページは少なめでした。
個人的に面白かったのが、最初に掲載されている「デパート散策」ですね。著者は1950年生まれで、昭和30年代に少年時代を過ごし、デパート全盛期を憧れをもって見ていた方です。きらびやかな内装やハイカラな食べ物など、当時の写真も多く掲載されていてその熱気が伝わってくるようです。
本書には、大丸・三越・高島屋・伊勢丹など、日本を代表する百貨店の画像が掲載されていますが、そのどれもがいいんですよね。外観からエントランス、照明、ステンドグラス、手すり、エレベーター、時計、食堂、屋上。贅を尽くしたネオゴシックやアールデコなど、様式も年代も色々で、そのどれもが美しい昭和を感じさせてくれます。
ちなみに、私自身は近くに百貨店もない田舎育ちのため、同じようにデパートに憧れたとしても全くタイプが違うんでしょう。懐かしいというよりも、レトロで新しいという印象になります。見慣れている地元の方は平気な顔をしていますが、大阪市内の老舗百貨店さんの建物なんて、あんなに楽しいものはありません。レトロなエレベーターなど、もっともっとその良さに気づくべきだと思ってます(笑)
デパートのページ以外でも、全体的に画像多めで気軽に懐かしめるようになっていますので、この手のものがお好きな方はぜひ。町田ワールドの入門編としてもオススメです。