2012-03-21
大和古物漫遊
春日大社の岡本彰夫さんによる、奈良の古物エッセイ第二弾
春日大社の権宮司・岡本彰夫さんによる、奈良の古物に関するエッセイ第二弾。
前作の「大和古物散策」は楽しく拝読できましたが、こちらもいいですね。奈良にまつわる人や物ばかりが愛情を込めて紹介されており、「なんでも鑑定団」を濃縮したような楽しさがあります。
●物では、重箱・裂地・法華寺の狗守・奈良の三茶碗、三輪升・奈良暦と伊勢暦・大和棟の鳩など
●人では、冷泉為恭・伏見宮文秀女王・乃木大将・谷三山・川路聖謨・片桐石州・蜀山人など
いずれも興味深い内容ばかりでした。
特に記憶に残ったのは、幕末の奈良の名奉行と讃えられた川路聖謨(かわじとしあきら)の件で、善政を施したのはもちろん、不明になっていた神武天皇陵の所在を追求した方としても知られています。これだけの方なので、さぞ達筆なのかと思いきや、掛け軸が写真入りで紹介されていますが、本人が気にしていたほどの悪筆なのだとか。面白いですね。
また、旧大塔村(現五條市大塔町)で、伝統工芸「大塔坪杓子」を伝える唯一の職人として、新子薫さん(URL先で紹介されているのは跡を継いだ光さん)の紹介も面白かったです。古物に限らず、いい道具を愛する生活ぶりが伝わってきますね。憧れます!