2012-02-22

街道をゆく (12) (朝日文芸文庫 (し1-13))

超有名シリーズの十津川街道編。奈良好きなら必読です

司馬遼太郎さんの超有名シリーズの十津川街道編。文庫版で読みましたが、第1刷が1983年。今から四半世紀も前の紀行文です。古くから十津川村は、源義経の時代から天誅組など、追手を避けて身を潜める場所として歴史に登場します。その辺りの知識が無かったので、今まで積んでありましたが、色んな発見がありました。

急峻な山間地である十津川村は、田畑を開墾することも難しく、太閤検地は行われたものの、実質的に税を免除されていたのだとか。また、関ヶ原の戦いなど歴史のポイントになると、十津川郷の者たちが千人単位で姿を現し、家康の警護を任されたりしたそうです。それ以来、百姓の身分だったはずなのに苗字帯刀を許されるなど、日本国内を見渡しても他に類を見ない独特のポジションを築いたのだとか。

また、十津川村に道路を敷くエピソードも興味深かったです。今でも険しい道が続きますが、戦後まで大きな道はなく、ずっと陸の孤島のような状態が続いていたのだとか。明治22年に十津川水害が起こりましたが(後に北海道へ集団移住して新十津川村になりました)、電話などあるはずもなく、被害状況が奈良に伝わったのは被害発生から4日も後のことだったとか。今の基準で考えると想像もつきませんが、すごい場所だったんですね。

また、五條市・大塔村(現在は五條市と合併しています)も天誅組に関連してちゃんと触れられています。今読んでも面白い内容ですので、興味がある方はぜひ!


【街道をゆく (12) (朝日文芸文庫 (し1-13))】の関連記事

  • 『彼岸の図書館: ぼくたちの「移住」のかたち』~東吉野村の私設図書館オーナーご夫妻の移住生活。自分の居場所について考えさせられる良書です~
  • 『馬姫様と鹿王子 1巻 (ヤングキングコミックス)』~奈良×仏像にファンタジー風味をプラス。作者さんの奈良愛が溢れる楽しい作品です!~
  • 『いじめられたお姫さま 中将姫物語』~當麻曼荼羅を織り上げた中将姫の物語を分かりやすく。大人も子どもも楽しめます。~
  • 『龍華記』~澤田瞳子さんの「南都焼討」がテーマの歴史小説。意外な展開に引き込まれます!~
  • 『孤鷹の天 (徳間文庫) 』~平城京にあった学問所・大学寮が舞台。歴史小説家・澤田瞳子さんのデビュー作!~
  • 『あをによし、それもよし 1 (ヤングジャンプコミックス)』~奈良時代へタイムスリップした山上(憶良)主役のコメディ。面白い!古代好きはぜひ!~
  • 『天誅組―その道を巡る (京阪奈新書)』~奈良県内を中心に「天誅組」ゆかりの地をまとめたディープなガイドブック~
  • 『ならしかたなし 1 (花とゆめCOMICS)』~大仏顔の女子高生とクールな鹿。奈良を舞台にしたシュールなコメディー漫画!~
  • 『平城京のごみ図鑑 最新研究でみえてくる奈良時代の暮らし』~平城京の“ごみ”から見えるリアルな奈良時代。分かりやすくて面白い良書です!~
  • 『古墳空中探訪 奈良編』~奈良の古墳の空撮写真集。時代ごとの環境の変化も見られ、空中散歩の妄想が広がります~
  • 『DEER LAND -誰も知らない鹿の国-』~鹿たちの姿を印象的に切り取った素晴らしい写真集。奈良好きな方は必見です!~
  • 『沈黙する伝承―川上村における南朝皇胤追慕 (あをによし文庫)』~資料を読み解き「後南朝」の人々がよりリアルに。読み応えのある良書です!~


  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ