2011-07-28
入江泰吉のすべて―大和路と魅惑の仏像 (別冊太陽)
奈良を愛した写真家・入江泰吉さん。ため息が出るほど美しい奈良!
奈良を愛した写真家・入江泰吉さんの業績をまとめた一冊。信頼の別冊太陽が「生誕100年記念」と銘打っているだけに、内容は充実しています。
私のような奈良在住の仏像好きにとっては、入江泰吉さんの作品は、土門拳さん、小川光三さん(飛鳥園)の写真などとともに、知らない間に目にしています。しかし、その人となりについては、ほぼ何も知りませんでした。
この本で、戦前に映画撮影に手を出して失敗、愛用のカメラまで売りに出してしまったことや、写真家として認められた最初の作品が文楽のシリーズだったこと、他のカメラマンの方と比べて白黒からカラーへ移行するのが遅れたことなど、死後、全ての作品が奈良市へ寄贈されたことなど、色んなエピソードに触れられました。
ご本人が語る略歴、周辺にいらっしゃった方の寄稿などが掲載されていますが、メインはやはり写真です。奈良の風景を収めた白黒写真、息を飲むような表情を捉えた仏像写真、貴重な東大寺お水取りの写真など、さすがに見ごたえがありますね。入江泰吉さんの業績を振り返るには最適でしょう。