2011-09-07

沙羅双樹 デラックス版 [DVD]

河瀬監督作品。ならまちを舞台に静かな「生と死」を描いた作品

ならまちを舞台に、街角にひっそりと息づく、静かな「生と死」を描いた作品。色んな意味で、個人的に大好きな映画になりました。

ならまちで墨職人として、旧家に暮らす一家。地蔵盆の日、双子の少年の一人が突如「神隠し」に合います。5年の時が過ぎ、表面上は平穏を取り戻した一家ですが、そのすぐ隣には静かな死の空気があふれています。父親のセリフにある、「忘れていいことと、忘れたらあかんことと、それから、忘れなあかんこと」、これが混濁した状態で暮らしている様子が静かに描かれていきます。誤解を招く言い方かもしれませんが、一部の村上春樹さんの作品に通ずるテーマかもしれません。

生と死、明と暗、静と動など、あらゆる面での対比が上手く描かれています。安っぽい表現ですが、死が身近に存在するからこそ生が鮮やかに輝くんですね。静かなトーンでストーリーは進みますが、バサラ祭のシーンや出産シーンがより明るく輝いています。

父親役の生瀬勝久さんが、圧倒的な存在感!河瀬作品にしては珍しく、比較的饒舌なタイプの役どころですが、素晴らしいですね。この作品がデビュー作となる主人公の無口さと相まって、難しい親子関係が見事に描き出されています。もうこれだけでもグッと来ますね。ヒロインの母親役の樋口可南子さんもさすがですし、主人公の母親で妊娠中という難しい役は、河瀬監督自らが演じています。これもお見事。

ヒロイン(兵頭祐香さん)も初々しい新人を起用しています。セリフは多くないのですが、カメラに映るだけで胸が痛くなるような、少女らしい鋭利さが感じられます。また、出来すぎなほどの理想の幼なじみであり、理想の古都育ちの女の子に見えるのもいいですね。この子の存在自体が大きな萌えポイントであり、父と子の男同士の静かなやり取りもグッと来ますので、男性でも感情移入しやすいでしょう。

全編ならまちロケですから、奈良好きな方にとっては、ならまちの見慣れた風景が登場するのもいいですね。このシーンはどこで撮影されたのかと想像しているだけでも楽しめます。この映画が奈良で撮影されたのが、2002年の夏。私はまだ奈良に来ていませんでした。その当時の奈良の様子を慈しみながら、何度も観てみたくなる作品でした。


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