2011-09-06

聖家族~大和路 [DVD]

奈良好き・堀辰雄好きですが、この作品は擁護できません

出演者もシナリオも、本当にひどいダメ映画。平城遷都1300年祭の記念事業として撮影された作品ですが、公開規模が小さかったのを割り引いても、全く評判を聞かなかなったので期待はしていませんでしたが、それを大きく下回る出来の悪さでした。奈良好き・堀辰雄好きな私に謝って欲しいくらいです。

まず、出演者全員の演技がひどい。主演の片桐さん(ラーメンズ)の固い演技は、一人だけコントを演じているよう。当てられたセリフも、文学的表現のつもりなのか無意味に小難しいんですが、一人だけ別の時代にタイムスリップしているかのようでした。重要な役割の師匠の内縁の妻役には、あの堀ちえみさん。この人には画家の死を悼む上品な連れ合いの役は無理ですよ。他数名の女性が登場しますが、どれもちゃんと出来てるとは言いがたい。

また、登場人物がちゃんと描ききれていません。奈良で主人公と出会った漫画家志望の女の子は(この登場シーンもひどい)、その後は全く登場しないし、ダンサー役(だけど踊りが下手)な女の子に惹かれていくシーンも、別れのシーンも安っぽい。そんなブツ切れなエピソードしか描かれないので、主人公の苦悩が全く伝わってこない。さらに、年齢設定もおかしい。10年前の回想シーンの主人公が、何で小学生高学年になるの?矛盾ばかりが目につきます。

また、原作も「大和路」「聖家族」の両作を組み合わせていますが、前半は奈良の観光案内的なカットが多く、そこに押し付けがましく絵が描けない苦悩らしきものがセリフで説明されるので興ざめします。セリフが無くてもいいくらいなのに、何で安っぽくて臭い言葉を言わせたがるのか、不思議で仕方ないですね。「新感覚ブンガク映画 第十一弾」とのことですが、セリフ回しだけで文学的な要素を表現しようとしているから、時代錯誤の薄っぺらい仕上がりになるんでしょう。

前半は、奈良の寺院(新薬師寺・海龍王寺・浄瑠璃寺など)を回るシーンがあり、堂内にもカメラが入っています。奈良に興味がない方に「すごい」と思わせるだけの力はあると思いますが、その手の映像をよくチェックしている人間にとっては、特に驚くほどではありません。新薬師寺の本堂正面の扉(お薬師さんの目の前)が開いているのが観られたのが唯一テンションが上がったところかも。

上映時間はわずか75分だったようですが、これが長く感じられるほど苦痛でした。私はTSUTAYAでレンタルできましたので、モノ好きな方のみどうぞ。


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