奈良を愉しむ

『奈良・町家の芸術祭 はならぁと2023』宇陀松山エリアを拝見しました

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町家・町並みにアート作品を展示するイベント『奈良・町家の芸術祭 はならぁと』。2023年の開催最終日に、メインの宇陀松山エリア(宇陀市)へ行ってきました。元医院(で元旅館)の「森岡医院」の不思議な内部を拝見できたり、今回の展示も楽しめました!

今年で13年目!県内各地で開催される芸術祭

歴史的な町家・町並みにアート作品を展示する、地球に優しいエコロジカルな芸術祭『奈良・町家の芸術祭 はならぁと』TwitterInstagramFacebook)。

2023年は「宇陀松山」「橿原・今井」「桜井戒重・本町通」「吉野町三茶屋・殿川」の4つのエリアで開催されました。

『奈良・町家の芸術祭 はならぁと2021』桜井・戒重エリア(2021-10-22)奈良県内各地の町家などにアート作品を展示する『奈良・町家の芸術祭 はならぁと2021』。「桜井・戒重エリア」は、旧医院・元寿司屋・理髪店裏平家という3会場で開催されています。不思議なアート作品とかつての住人の気配が入り混じったような、とてもはならぁとらしい内容で楽しかったです!

町家の芸術祭『はならぁと2020』橿原エリア・今井レポート(2020-10-24)歴史的な町家・町並みでアート作品を展示する『奈良・町家の芸術祭 はならぁと2020』。メインとなる「橿原エリア・今井町」は、キュレーター企画「そして、それはいつか土へと」を中心に展示されています(※一部有料)。古い建物に展示される不思議なアート作品の数々。異物感ありありで楽しかったです!

町家の芸術祭『はならぁと2020』天理市エリアから開幕(2020-09-26)天理市エリアでは町家とアートギャラリーの2箇所を会場として、若手アーティストたちによる不思議なインスタレーション作品などが展示されています。古びた町家の雰囲気とはかけ離れた、狂気すら感じられるような展示もあり、刺激的で楽しかったです!

古い建物好きな私たちはこのイベントの大ファンで、2011年にこのプロジェクトが始まって以来、足繁く通っていました(コロナ禍で連続観覧記録は途絶えてしまいましたが)。2023年は週末の仕事と重なってしまったりしたため、最終日に滑り込みで宇陀松山エリアの展示を拝見してきました。

以前から気になっていたレトロ建築「森岡医院」の内部を拝見できただけでも満足でしたが、今年も楽しませていただきました!

千軒舎:丸木スマさんの作品を展示

重要伝統的建造物群保存地区に選定されている宇陀松山地区。歴史を感じさせる町並みが魅力です。2023年のはならぁとの「こあ(≒メイン)会場」となった同地区では、展覧会「SEASON 2」と題し、長谷川新さんのキュレーションによる展示が行われました。

まずは通りの入口にある「千軒舎」から拝見していきます。
▲千軒舎では、丸木スマさんの素朴な絵画作品が展示されていました。この方は1875年、広島の生まれで、70歳を過ぎてから本格的に絵を描き始め、後に知人男性に殺害されてしまうという波乱の人生を送ったとか。
▲ネズミが集まった作品は、壁ではなく机の上に置いて展示してあったり。素朴で力強い作品と、風情ある建物の雰囲気があっています。

宇陀松山会館:全日本棍棒協会さんのこん棒

▲こちらの「宇陀松山会館」は、2017年の開催時には「大宇陀福祉会館」という名称で、床が傾いているような状況でした(詳しくはこちら)が、見違えるほどきれいになっていました!

同じイベントに通い続けていると、こういう比較が楽しめるのも楽しみの一つとなります。
▲ずらりと並ぶのは「ZNKK全日本棍棒協会」さんの作品(?)こん棒の数々。同協会はこん棒飛ばし大会などをインディペンデント開催しており、その活動が見られます。
▲大会の写真や資料の展示も。こん棒は長さ・太さ・木の種類など様々で、どれも実際に持つことができました。それぞれ握りやすさや重心などが違っていたり、意外と個性があるんですね。
▲オリジナルグッズも!
▲また、宇陀松山会館の一角では、奈良の生薬・大和当帰(やまととうき)のエッセンスを抽出する作業も行われていました。こんな活動もされているんですね!

森岡医院:ユアサエボシさんの絵画作品など

▲宇陀松山会館のすぐお隣、以前から気になっていた渋い建物「森岡医院」も会場となっていて、初めてお邪魔できました。木造でかつてお医者さんを営んでいた建物ですが、旅館だったこともあったとか!知らなかった!
▲横から見たところ。奥へと建物を繋いでのばしています。正面から見ると2階建てですが、奥は崖の斜面に下りるように建つ、いわゆる「吉野建(よしのだて)」で、実質4階建なのだとか。知らなかった!
▲入口部分(※有料)。渋い建物に入ってすぐにユアサエボシさん作の抽象絵画。この違和感がいいんです!
▲玄関の左手には、かつての診察室がほぼそのまま残っています。そんな中に鎮座するアート作品。
▲建物を奥へと進みます。単なる薄暗い昭和の建物に見えますが、
▲こんなちょっとした中庭みたいなスペースも。かつて旅館だった時代の名残ですね。

▲廊下の奥の奥、ほぼどんつきになっている一角では、不思議な雰囲気の映像作品を上映中。座布団に座って鑑賞できます。

▲2階の座敷では、1階と同じユアサエボシさんの作品を、床の間にスライドで投影中。この方の絵の雰囲気が、昔のシュールレアリスム的だったり、風刺絵や挿絵のようだったりとなかなか面白くて、場の雰囲気ともあっていました。
▲近づいて見るとこんな感じ。床の間の壁がキラキラ素材を含む粗い砂壁なので、絵にも独特なニュアンスがプラスされていました。面白い!

喜楽座:朝海陽子さんの映像作品を上映

▲外観からはまったくわかりませんが、こちらはかつて芝居小屋・映画館だった「喜楽座」です(※有料)。こうやって見ると、だいぶ建物が歪んでいますね。
▲建物に入ると、映画館のロビーらしき雰囲気が見て取れます。
壁には往年のスターの写真(宍戸錠さん!)や、レトロな映画ポスターなども貼ってあります。その奥が観客席で、
朝海陽子さんの、コロナ禍の影響を感じさせる都会の情景を切り取った映像作品が上映されていました。

暗いので、天井や2階席などは見えませんでしたが、2017年の記事に明るい状況の画像もありますので、あわせてご覧ください。

石景庵:宮崎竜成さんの不思議な暦

▲「石景庵」会場では、大きなスペースを使った不思議な展示が。宮崎竜成さんの「カレンダーの作り方/使い方(内灘暦)」という作品です。ぱっと見て意味がわかりませんが、
▲解説によると、こちらはアーティストさんがお住まいの金沢の潮の満ち引きカレンダー化したもの。ところどころ大きなビー玉が乗っているのは何かしらのイベント日で、一番大きなものは誕生日なのだとか。そう聞くとある一定の規則性がわかり、いろいろなものが見えてきます。
▲宇陀松山エリアで見かけた、美しくレトロなあれこれ。古い建物の魅力を堪能できました!

歴史ある町並みも変わったり変わらなかったり

▲宇陀松山へ行ったのは久しぶりでしたが、以前と変わらず雰囲気があって素敵な場所でした。渋い渋い文房具屋さんの建物も健在。
▲古い民家を活用した新しいカフェ(2店舗並びで)も登場していました。
▲老舗酒蔵・久保本家酒造さん「酒蔵カフェ」も、道の駅の前に移転オープン(以前の紹介記事はこちら)!こちらで利き酒セットなどもいただけますし、発酵ランチなども食べられるとか。また必ずお邪魔します!

奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2023

HP【公式】奈良・町家の芸術祭 はならぁと
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●【こあ】宇陀松山エリア
・会期:2023年10月20日(金曜日)~10月30日(月曜日)
・時間:10:00~17:00 ※火~木曜日休み
・会場:森岡医院、喜楽座、松山会館、千軒舎、石景庵
・入場チケット:一般500円(高校生以下・障がい者手帳をお持ちの方及び同伴の方1名無料)
●【さてらいと】橿原・今井エリア
・会期:2023年10月20日(金曜日)~10月29日(日曜日)
・時間:10:00~16:00 ※会期中無休
●【さてらいと】桜井戒重・本町通エリア
・会期:2023年10月20日(金曜日)~10月30日(月曜日)
・時間:10:00~17:00 ※火~木曜日休み
●【あらうんど】吉野町三茶屋・殿川エリア
・会期:2023年10月21日(土曜日)~22日(日曜日)
・時間:10:00~16:00 または 17:00 ※会場により異なる
※実際にお邪魔したのは「2023年10月29日」でした。

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