ぼくたちに、もうモノは必要ない。 - 断捨離からミニマリストへ -
話題になったミニマリスト本。生活改善のきっかけになるかも
身の回りのモノを極限まで減らして生活するミニマリストと呼ばれる人たちがいます。その定義などが曖昧で、さらに「モノを捨てたから幸せになれた」と論理に飛躍があったりするため、大切なことだとわかっていながらも、ちょっと斜めに構えてしまったりしました。
本書では、汚部屋の住人だったという編集者さんが、モノを捨てて身軽になったことでどんな変化が起きたのか、どうすればそれが実現できるのかなどを、丹念に描いています。
説明文:「持ちモノを自分に必要な最小限にする「ミニマリスト」という生き方。ぼくはモノを減らすことで何もかもが変わり、なぜか毎日「幸せ」を感じられるまでになってしまった。誰かと比べてばかりいて、みじめだった。将来への不安で、ずっと停滞していた自分が動きはじめた。最小限にしたからこそ、見えてくる本当の豊かさ。モノが少ない幸せがあることを知った。 モノも情報もあまりに複雑化した現代。そのノイズに阻まれて、本当に自分に何が必要なのか、何を大事にしたいのかさえわかりにくくなっている。できるだけ多くのモノを手に入れるのが唯一の正解だった時代はもう終わった。それがほんとうの「幸せ」にはつながらないことをなんとなくみんなが気づき始めている。生き方にはもっと自由な選択肢があっていいはず。他人の目線ばかり気にした世界から、自分の声に耳を澄ませてみること。断捨離からミニマリストへ。終わりのないモノへの追求から一度思いっきり距離をとってみること。これはもう一度「幸せ」について考え始めることに他ならない。」
●巻頭 ミニマリストの部屋、世界一周可能なバックパックの中身
●第1章 なぜ今、ミニマリストが生まれたのか?
●第2章 なぜ、モノをこんなに増やしてしまったのか?
●第3章 モノを捨てる方法最終リスト55!!さらに捨てたい人へ追加リスト15!!&「捨てたい病」への処方箋
●第4章 モノを捨て、ぼくが変わった12のこと(時間ができる・生活が楽しめる・自由と解放感を感じられる・人と比べなくなる・人の目線を恐れなくなる・行動的になれる・集中力が高まる。自己に徹する・節約だってできる。エコにもなる・健康になれる。安全である・人との関係が変わる・今、ここを味わえる・感謝できる
●第5章 幸せに「なる」のではなく「感じる」
私自身は、とくにモノがあふれて困っていたりしませんし、少ないモノで生活するスタイルには共感できる部分はあるものの、ニュートラルな気持ちで読んでみました。全部で300ページ弱もありますので、一般的なノウハウ本のつもりだと冗長に感じると思いますが、その考え方などはしっかり伝わってきました。
筆者さんのミニマリストの定義は「本当に自分に必要なモノがわかっている人」「大事なもののために減らす人」だとか。モノを減らせばそれぞれの道具を大事に使いますし、その有り難みも増していくことになります。「とりあえず捨てさえすればいい」というような迷走はしていません。
どこかスピリチュアル的なニュアンスも感じられて拒否感が出てしまいそうですが、ある意味では禅の教えに近いものであったり、とくに違和感はありませんでした。「部屋を極限まできれいにする」という難題に成功すれば、大きなダイエットに成功した人、止められなかった煙草を縁を切った人などと同様に、幸福感に包まれるのも当然です。そういう意味ではこの方法が効果のある方も多いんでしょうね。どこか「禁煙本」のような雰囲気も感じました。
何かしらの生活改善のきっかけが欲しい方にはお勧めです。無理しない程度にミニマリストを目指してみる価値はあるかもしれませんね。