本を読む

【読書メモ】『運動脳』 – 「すぐ運動したい!」と思わせてくれる一冊です

※記事内に商品プロモーションを含む場合があります。

運動をする人・しない人を問わず、大きな話題になっている一冊『運動脳』

超端的に要約すると「有酸素運動で脳細胞が増える!脳が活性化する!」という内容です。やや専門的でわかりづらい部分はあったものの、最新の研究結果を豊富に交えたとても興味深いもので、まさに「すぐに運動したい!」と思わせてくれる一冊でした。

有酸素運動で脳細胞が増える!脳が活性化する!

「生物学的には、私たちの脳と身体は今もサバンナにいる。私たちは本来、狩猟採集民なのである」

『スマホ脳』著者アンデシュ・ハンセン最大のベストセラー、それが本書『運動脳』。
従来、脳は成人後、衰える一方だとされていた。しかし、成人後も脳内の前頭葉が大きくなり、死の直前でも海馬の細胞数が増えた人たちがいた――。彼らに共通していたのは「有酸素運動」を日常的に行っていたこと。
たった5分のウォーキング・ランニングが脳に作用する!
学力・集中力・記憶力・創造性……脳のあらゆる力を伸ばす運動の秘訣、大公開!
何歳からでも、5分から効果があります!

◎◎本書の要約◎◎
「ストレスを効率よく解消するには?」「集中力を切らさない技術」「底なしの記憶力を手に入れる」「やる気を科学的に高める方法」「学力を高める本当のやり方とは?」など、ありとあらゆるパフォーマンスを確実に高める方法が余すことなく明かされています。

※本書は、2018年3月に小社より刊行された『一流の頭脳』を加筆・再編集したものです。

本書では、主に有酸素運動をするとどれだけ脳に良いことがあるかを丁寧に解説しています。

その効用は、ストレスを取り払う・集中力が増す・うつの症状を緩和する・記憶力が蘇る、学力が伸びる・寿命が延びるなど。ちょっと宗教じみているようですが、どれも研究結果で認められているのだとか。

「運動すると気分が良くなる。」

実際に自分がやるかどうかは別として、これはおそらく多くの方がご存知のことだと思いますが、本書では脳科学的なその理由の解説などがあり、いちいち腑に落ちます。

気になったところをメモ的に

定期的なウォーキングが実生活にもプラスの効果をおよぼし、脳の変化をもたらす。身体を活発に動かした人の脳は機能が向上し、加齢による悪影響が抑制され、脳が若返る。

●「GABA」というアミノ酸は脳内の活動を抑制して変化が起こらないようにする。いわば「ブレーキ」の役割を果たす。しかし、身体を動かすとそのブレーキが弱まり、子どもの脳のように柔軟に、再編成しやすくなる。

●「コルチゾール」はいわゆるストレス物質。ランニングなどの運動をしている間はコルチゾールの分泌量が増える(身体に負担がかかる活動は一種のストレスだから)。定期的に運動を続けていると、運動以外のストレスを抱えているときでも、コルチゾールの分泌量はわずかしか上がらなくなり、ストレスに対する反応が徐々に抑えられていく。

●コルチゾールには「身体の脂肪の燃焼を妨げる作用」があり、食欲が増し、高カロリーのものが食べたくなる。ストレスは太る。

●調査結果:週に2回以上運動している人はストレスとほぼ無縁

●身体を動かすことで「心拍数や血圧が上がっても、それは不安やパニックの前触れではなく、よい気分をもたらしてくれるものだ」と脳に教え込むことができる。

●運動すると心地よい気分になるのは、私たちの祖先が狩猟や住み処を探すときに走っていたため。生存の可能性を増やす行為に対して、脳が「ご褒美」を与えてくれている。

●わずか5分ほど身体を活発に動かすだけでも、子どもの集中力が改善され、ADHDの症状も緩和されたという研究も。単にあり余ったエネルギーが発散されて穏やかになったという単純な問題ではない、劇的な変化があった。

●前頭葉などストレスを抑える脳の部位は最後に完成する。10代ではまだ発達途中なので25歳くらいまで完成しない。一方の扁桃体のようなストレスを生み出す部位は17歳でほぼ完成する。子どもの感情の起伏が激しくて衝動的だったりするのも当然のこと。

●ヒポクラテスの言葉「あなたが不機嫌なら散歩にでかけなさい。それでもまだ不機嫌ならもう一度散歩に出かけなさい。」

●うつ病にもっとも効果があったのは運動(とくにランニング)。うつ病になると脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン)が不足しがち。薬で増やしたりするが、運動で増やせる。意欲減退を防ぐ物質「BDNF」は薬などでは接種できないが、運動で生成が促せる。

●人の脳は1年で0.5%くらいずつ小さくなっている。うつ病になるとそのスピードは加速する。うつ病になると新しい細胞の生成が阻害されるため。最新の説によれば、うつ病のせいで脳細胞が作られなくなるのではなく、脳細胞が作られないために意欲の低下が引き起こされるという。

●調査結果:持久力系のトレーニングを定期的に3ヶ月続けた場合、単語を記憶する能力はかなり上がる。通常は1年で約1%縮むが、トレーニングを続けた被験者は1年間で海馬が2%大きくなったという結果。

●脳トレなど、アプリが提供するさまざまな認知トレーニングは、ゲームそのものは上達しても、とくに知性が高くなったり、記憶力が向上したりといった効果はない。ただそのゲームが上手くなるだけ。クロスワードパズルなども同様。

●子どもが記憶力など潜在的な能力を存分に発揮するには、身体を活発に動かすこと。重要なのは「心拍数を増やす」こと。ただ一度の運動でも集中力が高まり、それを維持できて読解力も向上する。効果は1時間から数時間続き、少しずつ薄れていく。習慣化できればさらに効果は大きくなる。

●健康な高齢者は脳も元気。加齢による前頭葉の萎縮の進み具合は、カロリーの消費量と密接に関係している。よく動いてカロリーを消費する人は、加齢による前頭葉の萎縮の進行が遅くなる。

●毎日、意識的に歩くと認知症の発症率を40%も減らせる。

●わずかな運動でも脳のためになる。最低30分のウォーキングが望ましいが、5分でも無駄ではない。脳のための最高のコンディションを保つには、ランニングを週に3回、45分以上行う。重要なのは心拍数を増やすこと。筋トレも脳に良い影響を及ぼすが、どちらかというと有酸素運動のほうが望ましい。

運動の健康面・精神面な好影響を実感してます

私自身、いつの間にか「運動のトリコ」というくらい、運動抜きではいられない身体になってしまいました。そんな私ですから、運動することで健康面・精神面に絶大な好影響があることは身をもって知っていますが、本書のように科学的に解説されるといろいろと腑に落ちます。

私などは運動をすると気分がすっきりするのですが、運動が苦手な方は「運動が好きなヤツが好きなことをやってるんだから、気分が良くなって当然。俺は運動が嫌いだからきっと逆効果だよ。」と思われている方もいらっしゃるでしょう。

しかし、本書を読んでいただければ、単なる気分の問題ではなく、生物学的にも運動をすると多大な恩恵があることがご理解いただけると思います。

運動のメリットは計り知れません。ストレスを抱えている方、体調面で不安がある方などはもちろん、お子さんの集中力や学力をアップさせたい方など、ぜひご一読を。適度な運動は本当に快感なんですから!

関連する記事