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【読書メモ】還暦後の40年:データで読み解く、ほんとうの「これから」

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「いま還暦の人」を基準として、還暦後の生活ぶりをデータを駆使して可視化する一冊。私自身は現在54歳。還暦までにはもう少しだけ時間がありますが、いろいろと認識をあらためさせられました。読んでおく価値のあった内容でした。

還暦後も私たちは意外と長生きするらしい

日本人の平均寿命が男性81.47歳、女性87.57歳となり、「人生100年時代」という言葉が人口に膾炙している。人口的にみても、60歳以上の高齢者が4,263万人(令和4年推計)で、総人口に占める割合は約33.9%。実に3人に1人が還暦過ぎということになる。還暦後も長く生きる人がこれほど多数出現したのは最近のことであり、人類が初めて直面する社会とも言える。


その一方で、還暦後の人生イメージについては各個人ばらばらという状態のままだ。寿命は延びるものの、健康面(2人に1人はがんになる、認知症リスク)、経済面(年金だけでは足りず、2000万円の貯蓄が必要)、生活面(高齢者運転手の事故、孤独死)での暗い予測が蔓延し、それがシニア世代の将来不安を煽っているのが現状といってもいい。

しかし、還暦後の人生は、ほんとうに、そんなに不安に満ちたものなのだろうか?
この疑問に、日本を代表するシンクタンク三菱総合研究所が取り組んだ。統計や資料の扱いについて第一人者の研究員たちが、現実の統計数値を新たに組み合わせて分析し、イメージではなく事実に基づいた還暦後の「ほんとう」を描き出した。そこで分かってきたことは、還暦後も半数以上の人が、病気や寝たきり、認知症と関係なく、それまでの人生とはあまり変わりなく健康に生活し、90歳を迎えることができるということだ。


本書は、いわば、「還暦後のFACTFULLNESS」だ。還暦祝いのプレゼント本としてもおすすめの1冊。

まずは、本書の冒頭に掲載されたデータの一部をご覧ください。

Q.だいたい、平均寿命くらいまで生きる。
A.じつは、女性の大多数が90歳を超え、男性もほぼ半数が90歳近くまで生きる。

Q.加齢に伴い、体力は衰える一方だ。
A.いま還暦前後の人は、90歳の時点で、現在の70歳台の半ばの体力を保持している可能性が高い。

Q.「健康寿命」は「平均寿命」よりかなり短い。
A.「健康寿命」をすぎても、日常生活にほとんど影響がなく、80歳を超えて暮らすことができる。

Q.「健康寿命」を過ぎたら、寝たきりの生活が待っている
A.他人に頼っての生活になるのは、だいたい亡くなる前の2年くらい。

Q.2人に1人はがんになる。
A.がんになる可能性は80歳台まで少ない。また、罹患しても生存率は年々上昇している。

Q.日本の認知症患者は、30年後には1000万人を超える。
A.重篤な認知症の比率は、意外と小さい。しかも、60歳台からの生活習慣の改善でリスクを減らせる。

日本人の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳。なんとなく大雑把に「まぁ平均くらいは生きてるんだろうな」くらいの認識でしたが、どうやら90歳近くまでは生きる可能性も高そうなのだとか。イメージが大きく変わりました。

本書では、個人の寿命を探る指標として、平均寿命(1人でも0歳で亡くなった人がいると数値がぐっと下がってしまう)ではなく、中央値を用いています。このため、すでに60歳に到達している方は平均寿命よりもだいぶ長生きしそうだということがわかります。

すでに60歳や70歳で亡くなる人の数は劇的に減っているそうです。確かに70歳の方の訃報を聞くと「まだ若いのに」と思ってしまうくらい長寿化が進んでいます。

それに伴い、還暦後の方たちの運動能力もぐんぐん上がり続けているとか。ここ20年で10歳ほども若返り続けており、いまの還暦世代が80歳となる20年後には、いまの70歳と同程度の運動能力を持っている可能性も高いのだそうです。

50年前に誕生した漫画『サザエさん』では、磯野波平さんは54歳の設定でした。今の体力年齢に換算すると79歳くらいに当たるとか!

喫煙や血圧など、生活習慣に気を使う方が増えていることもあり、老化がどんどん遅くなり、物忘れすらしなくなってきているというデータもあるとのことです。

こうしたデータをもとに、第二部では「還暦後」の生活を新たに読み解いています。

アンケートなどによると、現在も一人暮らしの高齢者は、世間的なイメージよりもはるかに幸福度が高く、ネットなどを使いこなしながら暮らしているとか。

ただし、人間関係はどんどん希薄化しており、とくに一人暮らしの男性は孤立化しやすいといいます。自分がそういった立場に置かれた場合、そうなりやすい自覚もあるだけに、今からいろいろとイメージしておく必要がありますね。

これ以外にも、熟年離婚・仕事・スポーツや趣味・お金・リフォーム・地方移住など、さまざまな気になるトピックについて触れられます。

また、本書では「90年の人生を30年ごとに分割して考える」必要性が語られていました。その中で、還暦語の30年は「『第二の青春』かもしれない」と述べられています。まさにその通りなのかもしれません。

自分の老後などあまり具体的に考えてきませんでしたが、ちょっとだけイメージができるようになりました。少しでもいい老後になるよう、ちょっとずつ意識していきたいと思います!

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