奈良県外で遊ぶ

美しい洋館「六華苑」など!桑名市をじっくり観光しました <三重県旅行記その2>

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夫婦で1泊2日の【三重旅行】(桑名市・四日市市など)へ行った旅行記です。初日の桑名では名物の「蛤(はまぐり)」を食べ歩きましたが、食べる以外にも美しい洋館があったり、渋い商店街や城跡があったり。意外なほど私たち好みの渋くて面白い街でした。

 

 

三重県桑名市・四日市市へ1泊2日の小旅行

2023年10月、三重県の桑名市と四日市市(と、津市も少々)へ1泊2日の小旅行へ行ってきました。

  • 【その1】桑名市で「蛤(はまぐり)」を食べること
  • 【その2】四日市市で「とんてき」を食べること

旅の目的は主にこの2つ。簡単な下調べのみで現地へ向かいましたが、どちらの街も本当に面白かったです。自分たちのメモも兼ねて、その様子を全3回にわたって記しています。

 

和洋が混在!コンドル設計の洋館『六華苑』

桑名市ではまず、その名も「はまぐりプラザ」内にある『食堂はまかぜ』さん食べログ)に向かいました。ここの焼きはまぐり、感動レベルで美味しかったのでぜひお試しあれ。

続いて向かったのが、かの「鹿鳴館」を手掛けたイギリス人建築家ジョサイア・コンドルが設計した洋館『六華苑(ろっかえん)』です。

六華苑(旧諸戸清六邸)前の案内看板。元々は山林王として知られた実業家・二代諸戸清六の邸宅として、明治44年に着工、大正2年に竣工されました。建物は国の重要文化財に、庭園は国の名勝に指定されているという、なかなかすごいスポットなのです。
▲こちらがジョサイア・コンドル設計の『六華苑』(国重文)です!2階建ての洋館部分には、4層の塔屋がついており、その背後には伝統的な和館がつらなっています。
お庭(池泉回遊式庭園)からの眺め。敷地内には蔵なども建っていて、ぐるりと一周見てまわれます。全体的が和の雰囲気で、その中に急にハイカラな洋館がにょきっと登場したような、異物感がすごくいいですね!
▲もちろん館内もこんな雰囲気です。国の重要文化財なだけあって、管理が完璧。ベタな言い方ですが、大正時代にタイムスリップしたかのよう!
▲1階のダイニングルームなども、家具一式を含めて豪華。
ちなみに、この六華苑を中心に、桑名市は映画のロケ地としてよく活用されているそうです。

・映画『わたしの幸せな結婚』主演:目黒蓮さん
・映画『リボルバーリリー』主演:綾瀬はるかさん

先に映画を観てから訪れると、感動も倍増するかもしれませんね。

▲2階にも上がれます(ただし、4層ある塔屋部分は2層目まで)。

明治時代から数多くの洋風建築の設計を手掛けた、いわゆるお雇い外国人であったジョサイア・コンドルWikipedia)。代表作とされる「鹿鳴館」など、その多くは東京都内に建てられていたため、関東大震災や空襲にのため現存する作品は多くありません。六華苑は、地方に唯一現存するコンドル設計の作品ということで非常に貴重なのだとか。

▲2階には、美しい庭園を見晴らせるサンルーム的なスペースも。ここに住みたい!
▲どこもかしこも素敵なんですが、壁面のこういうスイッチなどが、いちいち素晴らしくて身悶えします!建築の難しいことはわからなくても十分に楽しめますよ。
▲こちらは洋館の奥につらなる和館部分です。廊下が二重になっていて、その間に和室が並びます。端正ですね。なお、使用人などは外側に板張りの廊下を使用するなど、身分によって廊下を使い分けていたとか。
▲縁側に座ってのんびりとしたり。とても静かでゆったりとした時間が過ごせました。

ちなみに、はまぐりプラザ~六華苑までの距離はわずか2km(車で3分、徒歩でも24分)。桑名駅も近いですし(六華苑まで車で4分)、見どころがコンパクトにまとまった観光しやすい街であると言えます。

なお、桑名市といえば……なスポット「ナガシマスパーランド」や「なばなの里」がある「ナガシマリゾート」もすぐ近くです。私たちは立ち寄りませんでしたが、ぜひあわせてどうぞ。

六華苑

HP【公式】六華苑
SNSInstagram
住所三重県桑名市大字桑名663番の5
電話0594-24-4466
定休日毎週月曜日、年末年始
営業時間9:00~17:00
料金一般 460円、中学生 150円、小学生以下 無料
駐車場無料

 

「七里の渡し跡」など東海道の宿場町の香りも

▲六華苑の近く、揖斐川沿いを散策すると、古くから舟運の拠点として栄えた名残が感じられます。この「住吉神社」は、航海の安全を祈った廻船業者たちが、大阪・住吉神社から勧請してきたもの。
▲こちらは、かつて「七里の渡し」と呼ばれた港(船着き場)の跡地です。護岸がしっかりし過ぎて、ちょっとわかりづらいですが。

ちなみに、桑名は東海道の42番目の宿場町として賑わっていました。かつての街道を歩いてみることもできます(意外と細い道で驚きます)。
▲揖斐川へ流れ込む小さ目な川(運河?)がいくつもあり、多くの船が繋がれています。こうした場所は何箇所もあって、この地域の人々が大河川とともに暮らしてきたことが実感できます。

 

本多忠勝の「桑名城跡」、立派な「桑名宗社」

▲そのまま揖斐川沿いに歩いていくと、徳川四天王の一人であり、桑名藩の初代藩主である武将・本多忠勝が築いた「桑名城跡」があります(詳しくはこちら)。


その前に建つのが、本多忠勝の像です。勇猛で知られた名武将らしい姿で、脇には天下三名槍と言われた愛槍「蜻蛉切(とんぼぎり)」兜は神の使いである鹿の角を模したもので、奈良県民としては親近感がわきます!

▲関ヶ原の戦いのあと、徳川家康から桑名10万石を与えられた本多忠勝は、大規模な区画整理を行い、4層の天守閣を備えた桑名城を築城するなど、桑名市が栄える基盤を作りました。

桑名城跡は現在「九華公園」として整備されています。天守閣などは残っていないものの、石垣などは観られますので、歴史好きな方はぜひ!
▲桑名城跡の近くに鎮座するのが、桑名神社と中臣神社の両社をあわせた「桑名宗社(春日神社)」Wikipedia)です。どちらも平安時代の延喜式神名帳にも名前のある古社で、桑名の総鎮守社です。

この立派な「青銅の鳥居」は寛文7年(1667)に藩主・松平定重の命により製作されたもの。「東海道随一」と言われたものだとか。
▲桑名宗社の拝殿は、桑名神社と中臣神社が共有する形となっていて、向拝や鈴がそれぞれ設けられている、かなり珍しい形式です。

なお、地元で春日神社と呼ばれているのは、永仁4年(1296年)に、奈良・春日神社から春日四柱神を勧請合祀したことからだとか。奈良ともゆかりの深いお社です。
▲鳥居をくぐった先にある楼門には、立派な武将姿の神像が(お寺なら仁王像がおわす場所です)。凛々しい!
▲また、桑名市の六華苑の周辺には、レンガなどを用いた近代建築も多数残されています。こちらは3棟がつながった立派な煉瓦蔵。六華苑と同じ諸戸家のもので、その財力がうかがえます。
▲別角度から。木造の建物の、今はもう珍しくなった郵便ポストも渋い!
▲そこからすぐ近く、東海道の桑名宿の中でもっとも格式が高かった「大塚本陣」跡地に、かつては料亭旅館、現在は結婚式場「ザ フナツヤ」さんが営業しています。明治8年(1875)の建築で、泉鏡花の小説「歌行燈」の舞台となっったりもしたとか。外観も素敵ですが、ホームページで館内の様子を見るとさらに素敵!一度お邪魔してみたいです。

ブラタモリ気分で散策すると楽しいです!

 

駅前の廃墟化したビル、昭和レトロな商店街

▲夜に飲み歩く(というか、はまぐりを食べ歩く)目的で、桑名駅の周辺もうろうろしましたが、ここでもまた知らなかったことがたくさん見つかって面白かったです。

こちらは三岐鉄道「西桑名駅」の様子ですが、看板などによると、桑名では、762mm(三岐鉄道北勢線)、1067mm(JR東海関西本線)、1435mm(近鉄名古屋線)という、3種類の幅の線路が現役なのだとか。しかも近くにこの3種類が一度に観られる踏切もあるとか(詳しくはこちら)。私は鉄道には疎いのですが、これって結構すごいのでは!?
▲また、桑名駅前がまた興味深くて、駅前に巨大な廃ビル「桑栄メイト」(2020年7月閉館)があったり、通れない高架通路があったり、ちょっとしたディストピア感があります。再開発が決定しているそうなので、この違和感を味わいたい方はお早めに。
▲桑名駅の周辺も味があって渋いです。古い商店街が現存していて、飲み屋さんから飲食店、普通の商店などが混在して営業を続けています。
まるで昭和の夜へ紛れ込んだかのよう。
これらのレトロな繁華街は、北野武監督の『龍三と七人の子分たち』(2015年)のロケ地として使用されたとか。観てみます!
▲桑名市で見かけたマンホールのふたなど。はまぐりはもちろん、「折り鶴」(桑名の千羽鶴)」も有名だって知ってましたか?

 

桑名市は好事家な大人の小旅行に最高!

はまぐりを食べたり(3軒)、戦国時代から近代までの歴史を感じながら歩いたり、昭和レトロなあれこれを探し歩いたり。ほぼ丸一日かけて桑名市を味わいましたが、本当に楽しかったです。

正直なところ、「桑名市を観光する」というイメージは湧きづらかったのですが、好事家(=物好き)な大人の小旅行にはぴったりな街でした。

奈良からは日帰り圏内ですし、またいつか「はまぐりを食べたい!」と言いながらドライブへ行くことになると思います。皆さんもぜひ!

※実際にお邪魔したのは「2023年10月1日・2日」でした。

その手は桑名の焼き蛤!桑名市で名物「はまぐり」食べ歩き <三重県旅行記その1>(2023-11-13)三重県の桑名市と四日市市(と、津市も少々)へ1泊2日の小旅行へ行ってきました。初日の目的は、これまで食したことがなかった桑名名物の「蛤(はまぐり)」を食べることです。人気の『食堂はまかぜ』さんなど3軒を食べ歩きましたが、さすがは本場。美味しかったです!