東大寺の初代別当・良弁僧正の1250年御遠忌にあたって行われた、法華堂「執金剛神立像」の特別開扉を拝見してきました。例年は年に1日のみ拝見できる秘仏ですので、本当に貴重な機会でした。法華堂にお参りするのは久しぶりでしたが、奈良時代の古き仏さまと過ごす時間は素晴らしかったです!
2023年は良弁僧正の1250年御遠忌です
2023年の秋、東大寺では初代別当(住職)・良弁(ろうべん)僧正の1250年御遠忌を迎え、さまざまな法要が行われています。
私たちは、東大寺・法華堂(Wikipedia)の「執金剛神立像」の特別開扉(2023/10/1~16)を拝見してきました。
例年であれば12月16日の「良弁忌」にのみ特別開扉される秘仏であり、今回のようなほぼ半月にわたって一般公開されることなどありません。本当に貴重な機会でした。

「良弁忌」に公開された秘仏拝観『東大寺』@奈良市(2009-12-16)『東大寺』では、毎年12月16日に「良弁忌」という法要が営まれ、それに合わせて法華堂の秘仏「執金剛神立像」などの秘仏が開扉されます。この日は、貴重な秘仏を拝見するとともに、まだ行ったことが無かった「戒壇堂」で、有名なニヒルな四天王像にもお会いしてきました!
▲12月16日の「良弁忌」について書いた過去記事です(2009年!)。平年の雰囲気が伝わるかと思いますので、あわせてご覧ください。
※日光・月光菩薩立像などは、現在は東大寺ミュージアムに移られています。

法華堂の拝観は有料のため、お子さんたちはほぼ入ってきませんでしたが、中にはちゃんと拝観料を支払い、熱心に天平の仏さまたちを見上げる子たちもいて微笑ましかったです。きっと大人になってから思い出すよ!

▲東大寺・法華堂の特別公開について。
- 秘仏 国宝・法華堂執金剛神立像 特別開扉(2023/10/1~16)
- 秘仏 国宝・良弁僧正坐像 特別拝観(2023/10/28~11/19)
10月末からは、普段は開山堂に祀られている国宝・良弁僧正坐像が、法華堂に移られての特別拝観が実施されます。こちらも必ず拝見したいです!
法華堂におわす古き仏さまたち。感動です!

執金剛神立像(像高173.9cm)は、法華堂に祀られた諸仏の背後を護るように、お一人だけ北向きのお厨子の中にいらっしゃいます。
長い間、人目に触れない秘仏として安置されてきたため、甲冑などの色彩が鮮やか。また繊細な塑像(粘土などで作られた像)であるにもかかわらず、天衣の一部などを除いてほぼ欠損していないのもすごいです。腕には力強く血管が浮き出ていて、まるで鎌倉時代を先取りしたような力強さなのです。
また、法華堂の一角には、復元彩色された模刻像も展示されていました。目がくらむほどの鮮やかさで、当時その姿を目にした方は(言葉は適切ではないかもしれませんが)「神々しい!」と驚いたことでしょう。

コロナ禍などもあり、法華堂にお参りするのは久しぶりでしたが、本当に素晴らしいですね!
御本尊である不空羂索観音立像(像高362.1cm)を中心として、さらに8躯の仏さまたちが鎮座する空間は、やはり日本でここだけの特別な場所です。いずれも奈良時代の乾漆像であるため、鎌倉時代以降の像と比べるとややプリミティブでぎこちない印象はありますが、だからこその迫力があります。
東大寺は歴史上いくどか兵火によって被害を受けてきましたし、すぐお隣の二月堂も江戸時代に焼失、再建しています。そんな中でこれだけ大きな仏さまたちが、これだけ素晴らしい状態で現在に伝わっているという事実に、心から感動しますね。
正面には畳敷きで腰掛けられるスペースもあり、ここに座って像高3mを超す大きな仏さまたちを見上げていると、心が柔らかくなるような、逆に身が引き締まるような、とても不思議な気分になりました。
この日は、拝観を再開した戒壇堂・四天王立像もお参りしたかったのですが、法華堂であまりにも満足し過ぎたため、また次の機会にお邪魔することになりました 笑



【東大寺】秘仏 国宝・法華堂執金剛神立像 特別開扉
HP | 東大寺開山 良弁僧正1250年御遠忌法要 – 東大寺 |
期間 | 2023年10月1日(日)~10月16日(月) |
場所 | 東大寺 法華堂(三月堂) |
拝観料 | 大人:1,000円、小学生:500円 |
【東大寺】秘仏 国宝・良弁僧正坐像 特別拝観
期間 | 2023年10月28日(土)~11月19日(日) |
場所 | 東大寺 法華堂(三月堂) |
拝観料 | 通常拝観料(大人:600円、小学生:300円) |